札幌アンダーソング ラスト・ソング


2016年05月23日 読了
 キュウのドッペルゲンガーが現れた。しかも殺人容疑がかかっている。
窮地に立たされた警察官のキュウ。
調べていくうちに、どうやら山森が仕組んだらしいとわかり、キュウは先輩の根来たちと共に春のところに避難と援助を求めにやってきた。

 どうやら最後の事件。
山森とどんな対決があるのかと期待したが、そこはなんだか児童書の流れ。
殺人という言葉がたくさん出てきて物騒な割にあっけなく幕が下りる。
春や山森という天才を出したなら、もっと頭脳戦を期待してしまう。

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アンと青春


2016年05月19日 読了
 デパートの和菓子屋『みつ屋』でバイトをしている主人公の梅本杏子。
シリーズ2作目。仕事にも慣れてきた頃、デパートにやってくる様々なお客様を見る目も変わってくる。
不思議な言い回しをする人に、業界の専用言葉がわからず悩むアン。
周りの空気が一瞬固まるほど子供を叱る親など。
 しかし、そこだけ見れば嫌な客でも、事情を推理していくと見えてくる本質があり、アンは手を貸そうとしてしまう。

 お人好しで、お菓子と関わる謎をひたすら解き明かそうとするアンの姿は一途なようだけど、どこか白けた雰囲気が漂う部分もあり、応援や共感をしにくい。
 所々はおもしろいけど、全体の読後感としては流れに乗り損ねたような気分。

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象は忘れない


2016年05月17日 読了
 地震と津波、そして福島の原発が壊れた日。
あの日を体験した人たちの生活と心を描く短編集。

 本当は何が起こっていたのか。
短編集とはいえ、『ジョーカー・ゲーム』ほどの充実感はない。
どれもきっちりと心の動きを描いてはいるけど、どれも尻切れで中途半端なため、共感も感情移入もできない。

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水域


2016年05月14日 読了
 いつの頃からか水に覆われた世界。
船に乗って流れていくハル。
時折出会う魚や浮島、そして様々な人たちとの交流。

 流れていく中で、水の質が変わったり住む生物が違ったりして、それだけで冒険なのだけど、それが日常となっているハル。
出会う人たちと時には飲み明かしたり騙されたり、恋する相手と出会ったりとまるで時の流れの様な物語。

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ひとつ目女


2016年05月11日 読了
 失業中のおれ。仕事を探して知人に頼みまくり、やっと手に入れた仕事は「逃げ出したラクダを探してきてほしい」。
ちょっと怖い思いもしながらも割と近くで見つけたラクダ。
それを連れてさっさと帰れればよかったのだが。

 ラクダと共にみつけたひとつ目の女と逃げることになったおれが、えらく遠回りして帰り着く話。

 ラクダはすっかりわきに追いやられ、メインはラクダと一緒にみつけたひとつ目女を連れて逃げる男二人。
ひとつ目女はタイトルになってはいるけどこれも脇のアイテムの一つで。
どうもちぐはぐな印象を受ける。

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私のサイクロプス


2016年05月09日 読了
 迷い癖のある旅本作家・和泉蝋庵と、お供の輪と耳彦。
目的のところにたどり着くまでの迷い道で、ひたすらおかしな町に出くわし、恐ろしいものを見、死にそうな目に合う。

 前作の『エムブリヲ奇譚』の不気味な後味が妙に残っていたので興味がわいた。
ホラーで所々スプラッタだから、読んでいると恐怖で震えるが、なぜか読後感は悪くない。
日本中の奇妙な話を集め、どこかで聞いた頃がある伝承が混ざっているからか。

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骨董通り0番地


2016年05月03日 読了
 骨董通りの一角、あまり人に見つかってほしくないと言わんばかりの佇まいをしたバーがある。そこの常連である老紳士の内山に、ある女性と仕事を含めた付き合いをしてほしいと頼まれる主人公の高柳。

 時が止まったかのような雰囲気のバーと、よく似た気配の老人。
内山に懸想する若い女性に惹かれていく高柳が、自分の嫉妬心に気付いた時、内山を巡る女二人の戦いに巻き込まれていることを知る。
 しかしその戦いすら、内山の練ったゲームの中のひとつにすぎないと気づきながらも抜けられない高柳が、静かに怒りを感じるのが最後の最後までない。
いい年をした男が上手く操られた感があるにもかかわらず。

 人に、「きっとこの作者の本は気にいると思う」と紹介された作家。
煙に巻かれたような読後感だが、不快感はない。

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武装島田倉庫


2016年05月02日 読了
 とある「戦後」。
破壊され、腐敗した街々と、海の水も雨の水も油を含み、奇妙で恐ろしい生物がはびこる世界。
そんなある街の倉庫で働く者たちの、生きてきた時間の一コマを短編で綴る。

 島田倉庫の面々が、どんな経緯でそこにたどり着いたのか。
一人ひとりの出来事が少しづつ。そして島田倉庫での出来事も少しづつ。
「アド・バード」と同じような世界観。
だけどこちらの方が数倍面白かった。

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アド・バード


2016年05月01日 読了
 第11回日本SF大賞受賞作。
いなくなった父を探すため弟とふたり町を出たマサル。
そこでは、今まで見たことがないような生物と、異常に発達した広告がすべてを覆い尽くしていた。

 SFらしい設定で大冒険をするが、世界は気味が悪い生物と危険ばかりで感動や成長といった冒険とはちょっと違う。
奇妙な生物の生態をしっかりと描いていたりして大作だが、世界観になじめず入り込めなかった。

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