大正5年、とある探偵事務所に、早稲田大学の学生が探偵になりたいとやってきた。
ただ断るよりも実情を見せた方が良いと思った家主の岩井は、彼にある謎を持ち掛ける。
他に、野口英雄の娘だと言い張る少女の嘘を証明する羽目になる星一、ロープウェイの故障で宙釣りになった与謝野晶子、スリに大事な研究成果を取られたハチ公の主人・上野英三郎など、名を残した大正の傑人達。
有名な人物たちが巻き込まれる様々な謎や犯罪に、居合わせた者が一夜の探偵となる。
大正時代の流行や景色が見えるような描写が楽しい。
それぞれは短い話だけど、巡り巡る縁にも思え、微笑ましい話も多く、短い大正の時代の賑わいが覗けた気がする。