絵師金蔵 赤色浄土


 幕末の土佐、髪結いの家に生まれた金蔵は、絵の才能を見込まれ、江戸で狩野派に学び「林洞意美高」の名を授かる。
郷によびっ戻された金蔵は国元絵師となるが、商人の身分で国元絵師にまでなった金蔵をやっかむ者に贋作を作ったと冤罪をかけられ投獄されてしまう。
なんとか放免になったものの、親友の死、弟子の武市半平太の切腹、師匠の死、そして大地震と、金蔵を悲しみが襲う。
幸せとは何かを追い求め、たどり着いた金蔵の色とは。

 いきなり投獄のシーンから始まるので、どんな偏屈な主人公かと思っていまいち集中できず、読み進める気がお空なかった。
でも少しづつ進めていくと、金蔵の人となりが見えてくる。
それでも史実をなぞっている部分は淡々として、絵への執着はそれほど見えてこなかった。
血の赤を厄払いと考える金蔵にたどり着いてからは、時代の流れの速さを追いかけるようにあっという間に何年も後の話になって追いつけないところもあった。

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