競争の番人


 公正取引委員会審査官・白熊楓は、ウェディング業界の価格カルテル調査をすることになった。
東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉とチームを組み、あらゆる調査を進めるが、調査対象のホテル社長が強かで、なかなか決め手をつかめない。
それどころか逆に冤罪と責められ、楓たちは方針の変更を余儀なくされる。
どうしても証拠がつかめないまま罠にかけられ、裏切られたりしながら、楓たちはあらゆる角度で調べを進めていくと。

 ストーリーに覚えがあると思ったら、ドラマでもやっていたようだ。
体育会系の楓と、頭脳派の小勝負との対比も面白く、読みやすい文章でドキドキの調査の場面も多く、どんどん進む場面に目が離せない。
どんな仕事をしているのかイマイチ知名度のない仕事にフォーカスを当てたお仕事ミステリー。

パリ警視庁迷宮捜査班


 パリ警視庁警視正アンヌは、停職処分を受けた。
屋っと復帰が決まったと思ったら、上司が新たに作る問題児寄せ集めの部署をまかされることになる。
そこで未解決の事件を選び取り、いくつか調査を始めたら、それらにはつながりがあることが見えてきた。
これは仕組まれた班に違いないと考えたメンバーたちは、20年前のフェリー沈没事故へと注意を向ける。

 個性豊かなメンバーたちが、一見協力しそうにもない事なのにみんなの注意を惹き、そこから解決へと結びつけていく。
途中挟まれる回顧録と、メンバーの思いなどが記憶に残っていなくて読み直したりしていたら、気になるところをどんどんさかのぼる形でじっくりと読んだ。
このパターンは多く、割とオーソドックスな形だったので安心して読めた。

真夜中法律事務所


 検事である僕・印藤累(いんどう るい)は、ある夜幽霊と出会ってしまった。
それは突然の異動でプレハブ小屋に移動させられ、世間を騒がせた検事による証拠隠滅と情報流出の事件の後始末を命じられた頃だった。
出会った幽霊は、とある弁護士の元へと印藤をいざなう。
そこには、死者を現世に縛り付ける現象を知り、成仏させようともがく一人の女性がいた。

 幽霊が留まる理由がかなりしっかり設定されていて、それをうまく使った決着で妙な満足感があった。
検事の不祥事も単なる利己的な犯罪とは言えず、なんとも言えない哀しさは残るけど、それでもただの幽霊話ではなかった。
死者に関しても、不気味だとか復讐や怨念を持った存在としてではなく、ちゃんと生前と同じ性質の意思を持った存在として書かれていて、むしろ親近感を持たせて犯罪者との対比が協調されていた。
推理小説のような読後感。