私の死体を探してください。


 人気作家の森林麻美がブログで自死を宣言し、「「私の死体を探してください」というメッセージを残して姿を消した。
担当編集者の池上は新作原稿を手に入れるためにあらゆる手を使って探そうとする。
しかし、家じゅう探しても手がかりはなく、そのうえブログでは次々と麻美の近親者の秘密が暴露されていく。
果たして麻美の意図は、そして本当に死んでいるのか?

 少しづつ明かされる秘密と新作。
麻美が高校の時に起こった衝撃的な事件の真相も加えて、周囲の人をじわじわ追い詰める。
暗くはなく、ホラーでもなく、長いわけでもないのですぐに読めてしまう。
結論も思わせぶりだけど、嫌な後味はない。

殺しも芸の肥やし 殺戮ガール


 10年前、高校の遠足で生徒30人と教師が乗ったバスが忽然と姿を消した。
墜落した気配もなく、わずかな痕跡さえないまま時がたち、この事件で姪を失った奈良橋は、刑事となっていた。
ある日管轄内で起きた「作家宅放火殺人事件」を担当することになるが、そこから不可解な人物が浮かび上がる。
気になって調べていくと、その人物は女である以外は顔も体系も違うが一人の人物へとつながっていることが分かる。
次々と人を殺しながらいろんな人物に成り代わる殺人鬼。

 天涯孤独な人物を見つけては、巧みに入れ替わる女。
まるでスパイのようだが、その実ただの殺人鬼。だがその女のかなえたい夢はなんとお笑い芸人という。サイコなのかコメディなのかわらかない。
恐ろしいけどそれぞれの人物も細かく描かれていて気になってしまい、あっという間に読めてしまう。
ホラーというわけではないので嫌な読後感もなく、謎のまままた姿を消す。