魔法を描くひと


 1937年、美術学校を出たばかりのレベッカは、アメリカで生まれたアニメーション会社となったスタジオ・ウォレスに「結婚・出産などで数年で退職する女性を雇うことはない」と断られる。
女だからという理由で諦めるものかと幹部に絵を見せて直訴し、気に入られて入社はしたものの、やっぱり軽く見られたりからかわれたりとひどい扱いを受ける。
それでもめげずに、少ない女性の同僚と共に戦う決意をするレベッカ。
 そして20xx年の東京では、彼女たちがこっそり隠していた絵を発見した非正規雇用のマコトが、その絵に魅せられる。

 レベッカたちが戦った理不尽は、20xx年ではまた違う理不尽となって非正規雇用のマコトをむしばむ。
結婚して子供もいて正社員の女性との格差に落ち込むマコト。
女だからというだけで雇ってもらえず、実力も見てもらえずに家庭に入ることを強要される時代と、どんなに頑張っても成果として評価されるのは正社員だけで、”対等に”という聞こえのいい言葉でいくらでも都合よく使われる派遣社員の時代。
世代が変わるほどの時間が過ぎてもある理不尽の対比が、どちらの主人公にも感情移入させられる。
それでもあきらめなかった女性たちの話だけど、切ない後味も大きく残る。