まほり


 社会学研究科の研究家を目指し、院試を控えた勝山裕は、卒研グループの飲み会で聞いた都市伝説に興味を惹かれる。
2重丸の印がそこら中にある村で、肝試しのように子供たちだけで山に向かった時に出くわした恐ろしい出来事。
ちょうどその村に近いところに実家がある裕は、夏休みを利用して調査を始める。

 都市伝説、民俗学の類に興味はないけど、空恐ろしい風習や薄気味悪い口伝がひっそりと生き続けている閉鎖された地域の時代錯誤な人々を不審に思う裕と、全くの別角度からその村に興味を示した少年が、やがて一つの残酷な事実を見つける。
 慣れるまでは読みにくいと感じていた文体も、淡々とした語り口なのにだんだんと深く沈んでいくような感覚に襲われて引き込まれる。
そしてある時から予想される、結末に出くわした時の衝撃。
しばらく余韻に引きずられる。

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殺し屋、続けてます。


表の顔は企業コンサルタント。裏の顔は殺し屋。
そんな富澤のもとへ依頼された殺しは、可憐な女子大生だったり、裏切った共同経営者だったり、さらにはすでに死んでいる者だったりもする。
 一方もう一組の殺し屋も、近くで仕事を受けていた。

 つまらん。

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アロワナを愛した容疑者 警視庁いきもの係


警視庁いきもの係の須藤と薄は、今回も人間以外の生き物を守る。
薄の長期休暇中に依頼された事案先に行ってみると、薄がタカと生活していた。
そして薄には、殺人の容疑がかかっていた。

 薄のちぐはぐな言動に振り回され、今回もちっとも話が進まないやり取りが面白い。
かみ合わない会話にもすっかり慣れた須藤のかわし方もほほえましい。
登場する生き物は動物だけではなく魚も植物もと広く、それらの生態も書かれていているため興味も沸いてくる。

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絶望スクール 池袋ウエストゲートパーク15


 猫を虐待し、その様子をSNSに投稿する「キャットキラー」。
最も美しいのは死ぬ直前だと信じる奴をみつけ、Gボーイズなりの罰を与える。
 通学路を速度超過で走りぬける男には恐怖を、留学生の金をむしり取る大人には大人の罰を。

 久しぶりにキングらしい采配。
タカシがいつも以上に姿を見せた。
ちょっと怖い、タカシらしい制裁は、スカッとするわけじゃないけどこれ以上の効き目はないだろう。

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ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係


2016年02月05日 読了
 警部補の須藤は、怪我から復帰してから追いやられた部署で、総務部動植物管理係の薄(うすき)巡査と共に動物が関係する現場へと向かう。

 被害者の飼っていたペットだったり、容疑者が預かっていた動物なんかの様子を見るうち、薄がヒラメキ、事件を解決する。
普段の薄のすっとんきょうな行動からは想像できないキレのよさで真相を見抜くギャップがおもしろい。

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ジョーカー・ゲーム


2011年04月20日 読了
 スパイ養成機関では、本名も素性も明かされることのない同期たちと、ひたすら過酷な訓練に明け暮れる。

 本当にありそうな気がしてくる。
自分は何者を相手にし、何を成していかねばならないのか、悪い夢を見そうなミッションが、地下室に幽閉されているような気にさせる。

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高校事変 III


 死刑囚の父を持つ女子高生・優莉結衣が学校から児童養護施設へ帰ると、全寮制の矯正施設・塚越学園の学園長が訪ねてきていた。
見学のつもりで学園に向かう途中、武装集団に襲われ、気づいたら熱帯林の奇妙な<学校村落>にいた。そしておそらく、優衣と同じように拉致され連れてこられた生徒児童も700人くらい。

 前回の事件のあと、奈々未と理恵の姉妹ともうまくやっていた優衣に襲い掛かる危機。今度は熱帯の島国で、武装集団の監視のもと、おかしな規律に支配された『学校』で、優衣はまたも命の危険にさらされる。
だんだん優衣の人間性が周りに伝わり、信頼を寄せる人も出てきた。
毎回披露される護身術とも武力ともいえる知識と技が、新鮮で刺激的。
優衣の精神状態にも興味がわいてくる。

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厨師、怪しい鍋と旅をする


2019年11月15日 読了
 優れた厨師を輩出することで有名な斉家村の斉鎌は、ある日茸を採りに入った山で出会った男かに鍋を借りた。しかしその鍋は、たびたび料理を作ってやらないと自分で獲物を捕りに行くという物騒な鍋だった。
里から、「返すまで帰ってくるな」と言われた斉鎌は、厨師として働きながら男を探して旅をする。

 鍋のせいで一か所に留まれない斉鎌は、いろんな経験をする。
そして出会った人たちと縁を結びながら、自分の望みも見つけていった。
読み応えたっぷり。淡々と書かれているが、相当に刺激的で、出会う人々も奇妙で、次はどんな人やモノと出会うのかと楽しみになる。
ただ、ちょっと説明不足で分かりずらい部分があって、読み返すなどもあった。
最後はもうちょっときっちり書いてほしかったが、おとぎ話としては「匂わす」程度で想像を駆り立てるほうがいいのか。

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厨師、怪しい鍋と旅をする [ 勝山海百合 ]
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とむらい屋颯太


2019年11月08日 読了
 江戸で、葬儀の段取りを生業とする颯太。
人手や提灯、棺桶、死に化粧から坊主まで一通りなんでもそろう「とむらい屋」。
その冷めた口ぶりには、人の生き死にを多く見てきたから故の思いがあった。

 弔いは残された人のためにあるんだという颯太。
人死を金にすると、近所からは遠巻きにされる職業だが、人は必ず死ぬ。
序盤は割と退屈で、淡々と仕事をする颯太を強調していたが、やがて彼がなぜそんな仕事を選んだのかが明らかになって来る。
生きたから訪れる死であり、それらは繋がっているのに、この世とのつながりを切る死と、生きている人同士の繋がりの対比がくっきりとしていた。

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