社会学研究科の研究家を目指し、院試を控えた勝山裕は、卒研グループの飲み会で聞いた都市伝説に興味を惹かれる。
2重丸の印がそこら中にある村で、肝試しのように子供たちだけで山に向かった時に出くわした恐ろしい出来事。
ちょうどその村に近いところに実家がある裕は、夏休みを利用して調査を始める。
都市伝説、民俗学の類に興味はないけど、空恐ろしい風習や薄気味悪い口伝がひっそりと生き続けている閉鎖された地域の時代錯誤な人々を不審に思う裕と、全くの別角度からその村に興味を示した少年が、やがて一つの残酷な事実を見つける。
慣れるまでは読みにくいと感じていた文体も、淡々とした語り口なのにだんだんと深く沈んでいくような感覚に襲われて引き込まれる。
そしてある時から予想される、結末に出くわした時の衝撃。
しばらく余韻に引きずられる。
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