探偵の流儀


 刑事を辞めて探偵事務所で働いている松代。
その事務所の所長が階段から落ちて重症を負う。
残された所員の間宮と松代、飯田は、事務所存続の危機に直面することになるが、残りの仕事を精いっぱいこなしながらも所長の事故に疑問を抱いていた。
所長の姪が代理になってくれないかと目論む飯田や、刑事時代の悪縁である同僚との遭遇、そして政治家や大企業をも巻き込む問題にまで広がってしまう。
小さな探偵事務所はどうなってしまうのか。

 所長の信用で成り立っていた小さな探偵事務所が、このままつぶれるかもしれないという危機感のなか、思いもよらない大きな事件を探り当ててしまう。
皆それぞれ個性がはっきりしているので分かりやすい反面、政治的な陰謀で分かりにくさが出てくる。
おかげでただ謎や問題の解決に留まらない探偵らしい仕事となった。

首ざむらい 世にも快奇な江戸物語


 母から言われて叔父を訪ねて大阪まで旅をする男が、首だけのサムライを拾う。
世にも不思議なその首を道ずれにした旅の話を聞きたいと乞われ、男は首との道行を話始める。
 ある若者が河原で死んでいるのが見つかる。犯人は河童だという。
幼いころかどわかしに遭った娘が飼う黒猫はそろそろ猫又になるらしい。
江戸の不思議な話。

 99回オール讀物新人賞受賞作。
奇妙だがどこか滑稽で、不思議で不気味だけど暗い話はなく、読みやすい。
優しい人たちが多くてホロリとさせられる場面もあり、怪異というわりには穏やかな話だった。

退職クロスロード


 年度末の3月31日、清掃員として派遣先の大手の総合メーカー・万屋カンザキ本社ビルで大忙しの日を迎えていた守田。
部署移動や退職などで大量に出されるゴミの回収に追われていた守田は、この日で定年を迎え、会社を去る窓際部長の佐和山義男から朝食に誘われる。
そして佐和山に、「あなたは命の恩人だ」と告げられ驚く。
堂やら5年前に、自殺しようとしていた佐和山を知らず知らずのうちに救っていたらしい。
バブル期入社の剛腕営業マンと、就職氷河期の挫折の末派遣社員となった守田との、立場も年も全然違う二人。
そこから万屋カンザキの過去の闇が掘り出されていき、やがて社内の同期や部下をも巻きこんだ、封じられた過去が明らかになっていく。
 
 派遣社員として常駐する会社で黙々と清掃の仕事をしてきた守田が、思いもよらぬ事に巻き込まれていく。
佐和山の一言が本来なら関係のない社内政治にまで飛び火し、守田の生き方まで変えてしまう結末に。
どんどん大きくなる事件に興味がとまらなかった。