カッコウの卵は誰のもの


2017年12月26日 読了
 スキーの元日本代表・緋田の娘は、今急成長中のスキー選手で、将来を期待されていた。
ある時緋田は、妻が昔流産していたことを知る。そして会社から、緋田親娘の遺伝子パターンを調べたいとの依頼が来た。

 自分の娘だと思っていた子は、実は他人かもしれないと恐れる緋田の心がたっぷりと描かれ、その動揺がどくどくと流れるように伝わってくる。
 ただ衝撃の事実が出てくるだけじゃないのでひやひやしながら楽しめた。

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福袋


2017年12月20日 読了
 江戸で起こる日常の出来事を短編で。
その日暮らしの仲良し男二人が、死のうとしていた男からもらった櫛を売り始める話。羽織の裏地に絵を描くことを専門としている女絵師の話。手習塾を休んででも三助をしたいという湯屋の娘。

 一つ一つは面白い設定だけど、いまいち話に力がなく、短編にするために端折った部分が読み取り切れずにいる感じですっきりしない話が多い。
この人はじっくり長編の方が面白い。

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千夜と一夜の物語


2017年12月16日 読了
 声が魅力的だけど他は地味な千夜は、仕事の帰りに「魔王」と名乗る男に攫われる。
「面白い話をするうちは生かしておいてやる」という魔王に、思いつくまま語るうち、それが現実の世界にも影響をし始める。

 表紙のうすら寒い印象そのままの話。
現代の「耳なし芳一」的な話で、解決はするけど救いはない。
「僕僕シリーズ」と同じ作者とは思えないくらい作風が違った。
イヤミスが好きな人向け。

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酒が仇と思えども


2017年12月14日 読了
 酒で悩んでいる人に手を貸したい。
酒屋の若旦那は、様々な悩みを聞く。

 単に酒癖が悪いとか身を持ち崩したとかいう話ではなく、親友と最高の酒を飲むつもりが相手に死なれてしまうといった、切ない話が6つ。
人を救い、そして最後には自分も救われ、ほっこりとさせられた。
酒は一緒に飲む相手によって味が変わる。
名前が出てきた酒を少し、飲んでみたくなる。

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あした天気にしておくれ


2017年12月13日 読了
 北海道で破格のサラブレッド「セシア」が搬送時の事故で足を痛めてしまう。
その馬は3億2千万円もする馬だったために、事故を言い出せず、関係者は周りを騙すことにした。

 自分たちが計画したことがどんどん勝手に進んでいき、最後にはまんまと身代金を盗られてしまう。
見事なかすめ取られっぷりでいっそ清々しい。
馬の事も競馬の事も知らずとも、充分に楽しめる。
ただ、デビュー作も競馬馬のことだったため、同じテイストで新鮮味は薄い。

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ブルーローズは眠らない


2017年12月08日 読了
 両親の虐待に耐えかね逃亡した少年エリックが逃げ込んだ先のテニエル博士の家で、エリックはひと時の幸せを感じていた。
その頃、〈ジェリーフィッシュ〉事件後、閑職に回されたマリアと漣に、P署の刑事ドミニクから「調べてほしいことがある」と連絡が入る。

 過去の事件と現在の出来事がどこで繋がるのか、興味をそらさず話が進む。
長い年月をかけた確実な復讐のために。
人物象がつかめていなかったために混乱したりもしたが、それは作者がわざと混乱させたのだろう。青いバラにまつわる話は大抵恐ろしい。

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裏切りのホワイトカード 池袋ウエストゲートパークXIII


2017年12月05日 読了
 「誰にでもできる簡単なお仕事です」という文句と共に、数百人も集められたガキども。集まった者には白いカードが配られ、コンビニで金を下ろすことを命じられる。

 いかにも怪しい詐欺の出し子のバイト。ずぶぬれで現れた女子中学生からの依頼。別れた妻の新しい男が子供に暴力をふるっているかもしれない、といった問題が今日もやってくる。
マコトやタカシの様子はいつも通りだけど、タカシの、時に非道なほど容赦ない決着の付け方はもう最近見なくなったのが残念。

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欺きの童霊 溝猫長屋 祠之怪


2017年12月02日 読了
 溝猫(どぶねこ)長屋で亡くなったお多恵が祀られた祠にお参りしている年長の少年4人が、今回出会った怪異は。

 毎回仲間外れになっている銀太が、祠に向かって「毎回同じで芸がない」と悪口を言ったせいで順番が狂い、「見る」「聞く」「嗅ぐ」が2巡目に入る。
今度も色んなお化けが出るが、今までと違って見た目が恐ろしいものはなく、どちらかというとにこにこしている幽霊ばかり。そのためお紺ちゃんの傍若無人ぶりが極まってくる。
4人の長屋を出る日も近づいてきて、なんだかさみしい気持ちになる。

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黄泉坂案内人 三条目


2017年11月30日 読了
 この世とあの世の狭間にある黄泉坂で、迷える魂を遺恨なく送るために働いている彩葉と速人。
死んでしまってからも人に喜んでもらおうと坂の下で居酒屋をひらいた死人のおかげで、死人は増えているのに迷う者は減ってきていた。

 生きていた頃の強い迷いをぬぐい、あの世へと導く二人の話というより、後悔を抱える死人がメイン。
ちょっと面白そうな人もいたけど、中途半端なまま終わったようなものもあり、消化不良な後味が残る。

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弥栄の烏 八咫烏シリーズ6


2017年11月28日 読了
 前作『玉依姫』と同じ頃、八咫烏の郷では何が起こっていたのか。
荒れた山神に振り回される若宮は、金烏としての記憶がない事に悩み、郷の未来に悩む。そしてついに、猿の襲撃が始まる。

 話が進むにつれ、だんだん細かいところも思い出してくる。
100年まえ、猿と烏の間になにがあったのか。
参謀にまで上り詰めた雪哉の変わりようが怖かったが、若宮と浜木綿の関係にほっとさせられた。
ファンタジーだと思っていたら歴史的な側面も見えてきて、どんどん混乱させられて引き込まれていく。結末がもう少し物足りないと思ったのは、まだこの物語を「読み足りない」と思ったからか。

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