明石家の主・新平は90歳手前で散歩が趣味。
老妻は近頃認知症の症状が出始め、新平の浮気を疑って時々しくしくと泣き出したりする。
さらに3人の息子は50ほどになっても一人も結婚しておらず、長男は引きこもり、次男は自称・長女、三男は甘ったれの借金まみれである。
そんな家族で問題ばかりだが、新平はカラッと笑って今日も面白い建物や美味しいものを探して散歩に出る。
新平の朝のルーティンから始まり、妻・英子とのなれそめや仕事の様子など、新平の人生を振り返りながら、散歩で出会う珍しい建物や景色に癒される。
事件は起こらないが退屈ではなく、むしろ淡々と語られる新平の周辺の出来事がやけに楽しい。
家族や新平が関わってきた人たちそれぞれの人となりも良く描かれていて、一緒に歩きながら次々と紹介してもらっているよう。
散歩のスピードでゆっくりと楽しめる。