仕事のためには生きてない


 ロックを愛し、大学時代の友人とバンド活動をしている多治見勇吉。
広報部で社長のSNSへの発言が炎上し、その対応に追われている最中、勇吉はスマイルコンプライアンス準備室〉という部署に異動になる。
社長の言い出した「スマイルコンプライアンス」という実態不明の思い付きを社則に入れろというのだ。
会議のための会議、忖度管理職への根回し、時間切れまで繰り返される「充分な検討」という名の意味のないやり直しに疲弊する勇吉。
なぜ自分はこんなになって働いているのか、と自分に問う。

 『被取締役新入社員』を思い出させる。
無茶ぶりと丸投げに消耗しながらも、なんとか抜け出す方法を探る。
仕事が趣味とはいえないが、一日の大半を過ごす職場は少しでも楽しい方がいい。
少しでも快適な場所にしたいと願う者たちの戦い。