令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法


 架空の法律で、その法律に振り回される人々の様子を描く。
過剰な動物愛護の精神で、動物にも教育を受ける権利や性質に応じた環境を得る権利などができ、それに従って裁判も起こるようになった。
自家製の醸造酒を家庭の味とする風習が広がった世界。
現金が禁止された世界など、今の社会で問題になっていることを法律にしてみた結果。。

 今世間で問題になっていることを、ちょっと大げさにしてみたらどうなるか、そんな極端な世界を想像してみる。
ゾクッとするような怖い事も起こり、どうなってしまうのかと不安になる。
これまでの新川帆立の作品とはちょっと違ったダークな世界。

先祖探偵


 東京谷中銀座の路地裏で、探偵事務所をひらいている邑楽風子。
風子は捨て子で、養護施設を出てからバイトでためたお金でたんていをはじめた。
先祖を辿る探偵をしているのは、自分の先祖を探す手助けになればと思ってのことだった。
 先祖は武田信玄にゆかりがあるはずだと言い張る男性や、先祖の祟りかもしれないのでどこの祖先が原因か調べてほしい、学校で祖先を調べるという宿題が出た、などの依頼に、あちこちをめぐっては調査をしていく風子。
やがて、自分の両親につながるのではないかという仕事が舞い込む。

 ずっと孤独だった風子が、自分の祖先を知りたいと思って始めた仕事。
やがてつながる縁と、風子が捨てられた理由に説明がついた頃には、まるで想像もつかなかった出来事が分かる。

おっかなの晩 (日本橋船宿あやかし話)


 江戸草川に浮かぶ島、日本橋の箱崎。
川辺の小さな船宿を切り盛りする女将のお涼。
彼女の元へ届く手紙の中には、吉原にいる花魁・清里からのものがあった。
清里は狐憑きと言われてしばらく客足が遠のいていたのだが、それを逆手に取った接客をするようになり、また人気が戻ってきていた。
そしてお涼の元へは、時折不思議な客もやってくるという。

 面倒見が良いお涼のところへやってくるのは、人だけじゃなかった。
そして彼らは、お涼に頼みごとをしたり、癒されたりして去っていく。
なかにはちゃんと落ちが付いた話も合っておもしろい。
お涼の子供の頃の話もあって、彼女の不思議な魅力がつまっていた。

モップの精は旅に出る


 大輪の花が描かれたワンピースにハイヒール、髪を頭のてっぺんでお団子にしたその女性は軽やかに歌いながら掃除をしていた。

英会話学校の事務をしている翔子のところに、受講生の男性から婚姻届けが届く。
たった一回面談をしただけのその男性が怖くなり避けていたら、その男性が死体で発見されたという。
翔子は深夜に出会った清掃員のキリコと仲良くなって話を聞いてもらう。
するとキリコは真相を見つけてしまうのだった。

 深夜に清掃員として働くキリコが活躍するミステリーだが、完結章を一番に読んでしまった。
知らなくても全く問題はなく、読みやすいしキリコの様子が楽しそうでミステリーだけど軽やかな気分になれる。
シリーズということなので、見つけたら他も読んでみたい。

うまいダッツ


 高校の喫茶部。
ゆるい活動の喫茶部のなかで特に「おやつ部」と言われている1年の4人は、それぞれ好みのおやつを持ち寄って食べていたある日、不思議な噂を耳にする。
「うまい棒一本で、世界の秘密がわかるらしい」
一人一回のみ、しかも一日に一人だけ、質問に答えてくれるというその人物を探しに行く。
 メンバーのうちの一人のおばぁちゃんが家でブローチを無くしたので探しに行くことにしたおやつ部。
SNSでつながった友達と気まずくなってしまった理由を知りたいというメンバーのために頑張るおやつ部。
先輩の頼みでお菓子のシルエットクイズに参加するおやつ部。
彼らの楽しい部活の様子。

 喫茶部ではあるものの、レトロ喫茶をめぐる人、コーヒーに凝る人などいろいろで、そのこだわりのうんちくも細かくて楽しい。
そんな中、コンビニやスーパーでも売っているおやつを食べる活動というなんとも微笑ましい4人。
高校生活の楽しみ方がいっぱいで、お菓子もいっぱい出てきて、懐かしいお菓子がたくさん食べたくなる。