神奈川にある終末医療の病院に実習に来た研修医の碓氷。
そこで脳腫瘍を患う女性ユカリと出会う。
外の世界におびえて病院から一歩も出ないユカリと、父に捨てられた憎しみで金を稼ぐことに執着する碓氷が、やがて心を通わせていく。
しかし研修が終わった碓氷が突然やってきた弁護士から聞いたのは、ユカリの死だった。
彼女は本当に死んだのか、残した遺言書に感じた違和感から、碓氷はユカリの足跡をたどることにする。
ユカリに惹かれ、小さな共犯となり、二人が抱えてきた闇をお互いに助け合いながら乗り越えていく。
前半は割と違和感なく読めていた。
だが碓氷がユカリの死を追い始める頃から、違和感とも嫌悪感とも言える不自然さが大きくなっていく。
それまでの思いが台無しになるほどの崩れようで、前半の印象の良さが後味の悪さでかきけされてしまった。