優しい幽霊たちの遁走曲


 ホラー小説家の津久田舞々は、新作が描けずに悩んでいた。
すると担当編集者から「ホラー作家を欲しがっている」という過疎化した町を紹介され、黄金の国と呼ばれていた町・古賀音を訪れる。
依頼は、その町に移住して町の小説を書くこと。
田舎には不釣り合いな洋館で、食も住もすべてを用意してもらえるというできすぎた依頼だった。
ところが庭にある祠の封印を解いてしまったところから、舞々の常識と生活は一変する。

 住まいも光熱費も、食費もすべて費用は町持ち、さらに別に報酬まで出るという胡散臭い依頼だが、追い詰められていた舞々は乗ってしまう。
そこで出会った人ではない者たちと、おかしな体験。
最初は現実を受け止めきれずに戸惑う舞々だが、やがてどこまでが現実か訳が分からなくなってくる様子はホラー。
最後は「クラインの壺」のように混乱して終わるのかと思ったが、タイムリープの様子も含まれていてまだ続きそうにも感じられ、終わりのない恐怖に包まれる。

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