六色の蛹 サーチライトと誘蛾灯


 森でハンターたちが狩りをしている山で起きた、銃の誤射による殺人事件。
病院の近くで花屋をしている女性が1年前の約束を果たそうと季節外れのポインセチアを入荷していた日。
工事現場から、土器と思われるものと人骨が見つかったと歴史センターに連絡が入り、8年前の捏造事件が蒸し返された。
虫を追って日本のあちこちを旅する魞沢が出くわす事件。

 虫好きな魞沢が、なぜか事件に遭遇する。
人が死ぬ事件なのに、悲しくも優しい印象を残すのは毎度のことで、魞沢は誰も責めることなく犯人を見つける。
スカッと解決するようなミステリではないが、生きている人の心を一番大事にするような推理なのでふんわりとした印象。
そのため事件より魞沢の穏やかな印象が一番印象に残る。

もつれ星は最果ての夢を見る


 量子テレポーテーション通信の開発によって、遠く離れた星同士でも通信が可能になった時代。
宇宙開発コンペに参加するため、地球から十光年離れた星に降り立ったエンジニアの零司と相棒のAI・ディセンバー。
しかし割り当てられた場所に到着したとたん、他の参加者の遺体を発見してしまう。
コンペ運営本部との通信も途絶え、未開の星で孤立無援となった零司。
不審な宇宙船や参加者ではない人物と出会って命を狙われたりと、零司は本来の仕事ではない事に奔走することになる。

 はるか未来、地球以外の星へ人類が到達した後の話。
AIとペアになり、新しい星の新規開拓コンペに参加したと思っていた零司は、相次いでやってくる襲撃者にとまどい、やがて知らされる事実に愕然とする。
崩壊する地球からすんでのところで抜け出し、200年もの間冷凍睡眠で放浪していたという零司の行動が、そして彼の作り出したAIが、人類の行く先を決めるという大ごとにまで発展し、途方もない行く末を想像させる。
オープニングの、各コンペ参加者の様子を綴ったプロローグを読んだ時点では、つまらないと感じて一度本を閉じたが、暇に飽かせて続きを読んでみて良かった。
つかみは失敗だが本編はとても面白かった。

解錠師


 8歳の時の事件がきっかけで声を出せなくなったマイク。
だがあることに興味を示し、彼は驚くほどの才能を発揮した。
それは絵を描くことと、どんな鍵でも開けること。
やがて高校生となったマイクが、同級生に乗せられて忍び込んだ家で捕まったことがきっかけで、プロの金庫破りの弟子となる。
そこから続くマイクの人生を、彼の独白と共に綴る。

 子供の頃の出来事と、大人になり解錠師となったマイクとの二つの視点が入れ替わりつつ、彼の人生が語られる。
時に起こる大きな仕事と危険。
そうやってマイクが10年も入れられている刑務所からの独白へと続くが、一言も話さないのに周りの出来事だけで充分生き生きとしている。
それでも刑務所へと続く人生の話のため全体的に暗いイメージが付きまとう。
あちこちに飛ぶ時代と視点と、マイクの思い込みと好転しない人生とで、楽しく読めると言った雰囲気ではなかった。