ペンギンを愛した容疑者 警視庁総務部動植物管理係


2016年02月05日 読了
 警部補の須藤は、怪我から復帰してから追いやられた部署で、総務部動植物管理係の薄(うすき)巡査と共に動物が関係する現場へと向かう。

 被害者の飼っていたペットだったり、容疑者が預かっていた動物なんかの様子を見るうち、薄がヒラメキ、事件を解決する。
普段の薄のすっとんきょうな行動からは想像できないキレのよさで真相を見抜くギャップがおもしろい。

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復讐屋成海慶介の事件簿


2016年12月23日 読了
 男に騙されたあげく、会社も辞める羽目になった神戸美菜代は、復讐を請け負う人がいるという噂を聞いて訪ねていく。
ところが、お金がないとわかると冷たく追い出されてしまった。
当てもない神戸は、元秘書をしていたスキルで成海の事務所に居座ることにした。

 イケメンだけどぐうたらで、ろくに仕事らしいことはしてないように見える。
そのうえ金がないと話も聞いてくれない成海。
さらには依頼を受けてもなにもしないというのに、印象は良く、依頼人はとても感謝する。
どの話も嫌な感じはなく、あっという間に読めてしまった。

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幻影たちの哀哭


2016年12月22日 読了
 昭和十七年五月、空襲により負傷した亀島伊介海軍一等兵曹は、軍令部特別班への転属命令を受ける。
畑違いの防諜活動に戸惑いながらも、しだいに熱が入り始める亀島だが、先を読んで裏切り、狙った相手を思いのままに動かし、自分たちの都合がよいようにと目論む周りに混乱していく。

 スパイや裏切りということにすれば、どんなことでもこじつけられるような進め方で、自分の信じることすら嘘にされそうなところに嫌悪感が湧く。
スパイものとしては、柳広司のシリーズのほうが数倍おもしろい。

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潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官


2016年12月19日 読了
 伊豆諸島の「神の出島」でミイラ化した女性の遺体が発見された。
首吊りの跡があり、自殺と断定されたが、岩楯警部補は死体の一部に引っ掛かりを覚える。

 赤堀は相変わらずだけど、必至な様子がだんだん見ていて辛くなってくる。
そこまで駆り立てる熱意はどこから来るのか。
単純な自殺でミイラになってから発見された死体だったはずが、どんどん膨らんでどんどん面白くなっていく。
岩楯から見た赤堀の様子の描写がおもしろくて、何度も読み返すことになった。

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神仙の告白 僕僕先生: 旅路の果てに


2016年12月15日 読了
 旅の仲間もそれぞれに自分の道を見つけ、また二人となった僕僕と王弁。
長安で静かに暮らしていた二人だが、突然王弁が眠りについてしまう。
集めた仙骨に、体が耐え切れなくなったのだ。
僕僕は王弁を助けるため、神馬の吉良と薬丹の材を探しに行くが、その頃、神仙たちも事を始めようとしていた。

 旅の終わりが近いと思わせるタイトルで、中身もそうだったが、今回は雰囲気が一変して剣呑。
唐突に話が大きくなり、これでは「千里伝」と同じ。
どうしても天地の創造やら西王母を絡ませたいのかとがっかりした。

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イン・ザ・プール


2016年12月12日 読了
 伊良部総合病院の地下にある神経科で待っているのは、色白で太った精神科医・伊良部一郎。
彼は、一見病気だとは思えないおかしな困りごとを持つ患者たちを診る。

 やって来る患者もおかしな奴らなら、伊良部も相当おかしい。
患者の方が伊良部に振り回されるうえに、治療らしいことは少しもやっていないのになぜか症状は改善していく。
煙に巻かれたような気分でするすると進み、もう少し読みたいと思うちょうどいいところで終わる。
続きがあるようなので是非読みたい。

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ちょっと今から仕事やめてくる


2016年12月09日 読了
 ブラック企業ですり減り、衝動的に電車に飛び込もうとしていたところを、同級生だという「ヤマモト」に引き留められる。
覚えてないけど確かにヤマモトという奴はいた、と付き合いを始める主人公・隆。
 ヤマモトとの明るい会話を重ねるうち、隆の表情は変わっていく。

 ヤマモトを完全に信用していた隆だが、ある日ふと見つけた記事から不信感を抱く。
確かにちょっと怪しいけど、友人としては最高なヤマモト。
ありふれた設定や展開だけど、人との縁で人生はここまで変化する。
すぐ読めるけど、ちゃんと全部入ってるといった感じ。

恭一郎と七人の叔母


2016年12月08日 読了
 恭一郎には7人の叔母がいる。それはとてもとても個性的で、強かで優しい叔母たちだ。
その7人の叔母について、恭一郎は同年代だと思われる女性に話して聞かせる。

 登場人物が多くて混乱しそうだと思ったのは最初だけ。順番に語られる叔母たちの様子はとても興味がわき、そしてかなり個性的だった。
 今までの小路幸也の作品では、ただひたすら優しく穏やかで、そしてどれもよく似ていて、区別がつかないせいかすぐに忘れてしまうようなものばかり続いていた。
でも今回は、叔母たちと同様個性的だった。
叔母たち本人は一度も出てこず、恭一郎の話の中だけなのに、恭一郎が一番存在感が薄いという不思議な状況となる。

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継続捜査ゼミ


2016年12月06日 読了
 警察を定年退職した小早川は、友人が学長をしている大学に再就職した。
そこで教えるのは、刑事政策。
5人のゼミ生と共に、15年前の強盗殺人事件を追う。

 今までは現役の警察官の話ばかりだったが、今度は退官した警察官のノウハウを使った講義。
学生たちの質問が素人代表として新鮮だが、皆それぞれ得意分野があり、間にちょっとした学内の事件まで解き、割と盛沢山だった。
軽く読める割に満足感が大きい。

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終末のフール


2016年12月03日 読了
 8年後に小惑星が地球に激突し、世界は滅びると発表されてから5年。
パニックや自棄になった人々が暴れた時期を過ぎて小康状態となった頃、あるマンションの住人たちの生活を短編で綴る。

 慌てふためく時期を過ぎた人々は、何を思って生きているのか。
親がいなくなった子供たちや、息子夫婦が孫を連れて心中してしまったおばぁちゃんなど、身近な人の死を受け入れたら、人は似てくるのかと思うほど、それぞれに個性がない。
どれも同じテンションで、誰の目線からも同じくらいの温度しか感じないため、面白みがない。

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