若様とロマン


2016年12月03日 読了
 巡査になった若様組。
真面目に日々仕事に向かっている若様達だが、にわかに不穏な空気が漂いだしてきた。
成金のひとりである小泉琢磨は、日本は戦争になると予言し、それを抑えるべく仲間を集め始め、その一つの手として若様達に縁談を進めてくる。

 若様達が次々に見合いをする。
登場する女学生も華やかで個性的だが、やはり小泉の娘・沙羅はとびぬけていた。
次々と騒動が起こるのは「しゃばけ」シリーズでも同じだが、人数が多い分こちらは多彩。
戦争が起こった時、小泉や若様組はどうるす?

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星やどりの声


2016年11月30日 読了
 亡くなった父が大事にしていた喫茶店「星やどり」を守りながら暮らす、母と6人の兄妹。
少ない常連の一人であるおじいちゃんの姿が見えなくなったころから、家族の形が変わっていく。

 ほのぼの。
仲は良いけどそれぞれが小さな葛藤を持ち、家を出る者や店を手伝う者、様々な未来を見据える。
そして、これまでから卒業する。
苦しいところも引っかかるところもなくサクサク読める。でもあんまり残らない。

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検察側の罪人


2016年11月23日 読了
 有能な東京地検のベテラン検事・最上のところに、教官時代の教え子である沖野が配属されてきた。ある日、大田区で老夫婦刺殺事件が起き、その関係者の中に知った名を見つけてしまう。

 すでに時効となった事件の犯人らしき人物が、また殺人犯として現れた。
法では裁けない口惜しさが、最上を追い詰める。

 法の専門家でありながら、今までの正義をあっさりなげうつ上、素人のような隠ぺい工作をする。
ばれても構わないと思っていたのならもっと雑だったろうし、見つからければラッキーというならもう少し考えて行動するはずで。
最初からどうも入り込めないところがあった。
動機となった、時効を迎えた事件への思い入れもいまいち薄い印象で、全体的に上滑りしていた感じ。

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ランチのアッコちゃん


2016年11月20日 読了
 派遣社員の三智子は、彼氏にフラれてから元気がなかった。
そんな三智子に有能な女性部長・黒川が声をかけてくる。
「これから1週間、ランチを交換しよう」

 仕事はできるがちょっと近寄りがたい部長の指示で、その日行く場所へランチへ出かける三智子。仕事場での部長の顔しか知らなかったけど、ランチで出会う人や場所によってどんどん視界が開けてくる。
元気が出てくるランチ。美味しいと思えることが楽しいということが、力になる。
 でも後の短編はそのパワーに欠けていた。アッコちゃんの話がもっと読みたくなる。

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神様の裏の顔


2016年11月18日 読了
 たくさんの人から慕われた神様のような坪井誠造が死んだ。
教師であり、定年してからは裏の敷地にアパートを建て、畑も作り、近所の人々に愛された坪井誠造の通夜に集まった人々。その中に、ちょっとした疑惑を持つ者が数人いた。

 清廉潔白な、神の様な人物だったはずなのに、一つ怪しいと思ってしまうとたちまちすべてが怪しくなり、あっという間に悪魔の様な人物になってしまう。
通夜の席の数人の話だけで、一人の老人の人物像がここまでくるりと入れ替わるのは面白い。
最後まで違和感を持たせずに上手く一人を消し去る結末には驚いたが、あのオチはあんまり好きじゃない。

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まことの華姫


2016年11月17日 読了
 夜でも明るい両国の見世物小屋。
その中に、珍しい技を見せる芸人がいた。
最近人気のその人形遣いは、月草という。

 まことを話す井戸から生まれた玉を目にもつ姫人形・お華を操る月草の下へやって来るお客は、お華のファンだけではない。
知りたい事を抱えて思いつめた人は、見世物の途中でも構わず月草に詰め寄ってくる。
そのあたりを束ねる親分の頼もしさと、月草の優しさがわかりやすく引き立っている。
謎というより人のしがらみが大きく、それがほどけた瞬間はすっきりする。
ただ、表紙のお華の表情がなんだかしっくりこなくて、物語の印象が薄くなってしまっている。

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異類婚姻譚


2016年11月14日 読了
 芥川賞受賞作品。
人間じゃないものと結婚したという女性たちの話。
奇妙で、でもそれほど悲嘆してはいない彼女たちが、どんな日常を送っているのかを淡々と描く。

 奇妙さではかなり面白い発想だけど、設定だけがあれば伏線も意味もこじつけも解決も謎も盛り上がりも何もない。
どこでも適当なところで終われるような話。
自分自身や、結婚ということを考えるために当てはめることはできるけど、物語としては評価できない。

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サラバ! 下


2016年11月06日 読了
 家族がバラバラになり、自分だけは違うとそれから逃げ続けていた歩だが、ある日頭髪が薄くなっていることに気付いてからは、卑屈で人を避け、猫背で引き篭もる日々をすごしていた。

 上巻はただ淡々と出来事を綴っていたからさほど興味もわかず、いつ読むのをやめても気にしないくらいだったが、下巻になって少し周りが見えてきた歩の物の見方に興味がわいてきた。
どこにも引っかからずするすると読めるため、あっという間に終わりそうだったが、最後で「夢オチ」的な気配が出てきたところで突然白けた。
ヤコブとの邂逅で終わっていればまだタイトルともつながったのに、残念な気分しか残らなかった。

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サラバ! 上


2016年11月06日 読了
 父の赴任先のイランで生まれた歩が、天真爛漫な母と、自己顕示欲が強い姉、普通の感性を持っている父との日々を描く。

 イランでの革命で治安が悪くなり、日本に戻って小学校に入り、その後中学になり、彼女ができ・・・・、ただ歩の成長を淡々となぞる。
日記というか、歩の頭上の定点カメラの映像をただ見ているような感じ。
特に盛り上がりもないために飽きる。

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サラバ!(上) [ 西 加奈子 ]
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マル暴総監


2016年11月04日 読了
 チンピラが睨み合っているという報告を受け、臨場した北綾瀬署のマル暴刑事・甘糟。
どうやらお互い引き際を見計らっているようなので見守っていたら、白スーツの人物が割って入ってきた。
 そして翌日、睨み合っていた人物の一人が死体で発見される。

 いつもより砕けた感じの文で、キャラクターが引き立ってるわけでもなく、出来事もどうってことない。緩い感じの言葉がよけいに軽く見せている。
もう少し内容があればいいのだけど、これではコマーシャル程度の素通り感。

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