江戸は本所、霧左衛門長屋の裏側にあるから「裏霧長屋」という。
しかしそこは、江戸で生きづらくなった者たちが行き着く場所であり、人はそこを「うらぎり長屋」と呼んだ。
元大工の石蔵は、ふとしたことで盗みの一味に加わってしまう。しかし居酒屋で働く娘に惚れて足を洗おうとする。
料亭で女中として働いているおたつは、亭主が酒豪だと嘘をついて酒を買い続けていた。
怠け者の母を支えるため内職をしていたおえんは、ある日お店者らしき男に声をかけられる。
裏長屋に住む人たちの人生。
風通しも日当たりも悪い長屋に住む人々は、なぜそこに集まってきたのだろう。
彼らの来し方が一人ずつ語られる。
物悲しい出来事ばかりだが、途中に折り込まれる季節の花や子供の声にふと立ち止まるような、ゆっくりした時間が流れていた。
