第15回日本ホラー小説大賞受賞。
遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。
先代の父が亡くなり、今は長男がその仕事を請け負っていた。
父の7回忌を控え、久しぶりに三兄弟がそろった時、かつて父と付き合いのあった人物からのかつてない依頼が舞い込む。
不気味でグロテスク。
しかしストイックでどんなに心が削られようとも、怖くはなかった。
父が隠していた仕事と盟約が明かされ、兄弟の秘密も明かされ、どんどん巻き込まれていく。

読書と手芸の記録
第15回日本ホラー小説大賞受賞。
遺体から様々な製品を作り出す「遺工」を家業とする庵堂家。
先代の父が亡くなり、今は長男がその仕事を請け負っていた。
父の7回忌を控え、久しぶりに三兄弟がそろった時、かつて父と付き合いのあった人物からのかつてない依頼が舞い込む。
不気味でグロテスク。
しかしストイックでどんなに心が削られようとも、怖くはなかった。
父が隠していた仕事と盟約が明かされ、兄弟の秘密も明かされ、どんどん巻き込まれていく。
47才、底辺からせどりで50億の資産を持つまでになりあがった女、夕映野遠火。
ブランド物の中古品を買い、キレイにしてから高く売るせどりで大金を稼いだ女として今日も配信しながらバーキンをプレゼントする。
遠火の会社「ブランゴール」という会社は、これから上場めざしているのだが、社長の遠火が突如、失踪する。
そしてインスタライブで突如、「わたし、ずっと殺したい奴がいる」と発言し、自分の人生を壊してきたかもしれない相手の復讐を誓う。
遠火はなにをしようとしているのか。
一緒に会社を興してきた仲間は冷や汗をかきながら遠火を探し回る。
会社がとうとう上場するという段になって、誰にも分らないことをしでかす。
最初のテンションの高い配信用ノリに置いていかれたような気分になるが、遠火の思惑が分からず困惑する仲間と一緒の気持ちで遠火を見守ってしまう。
遠火が次に何をやらかすのか、興味はずっと続いた。
第46回小説推理新人賞受賞作。
稲荷神となって三百年。誉人」として選ばれた人間の願いを叶えるため、日々神社で人々の願いに耳を傾けている。
今回やってきた誉人の女は、病におかされ余命わずかにもかかわらず、「どうか私が殺されますように」と願った。
ただ願いをかなえるだけではなく、誉人なぜそれを願うのか、きちんと判断して叶えないといけない。
人は言わない事も多く、それを見極めるために稲荷神は人に化けて事情を探っていく。
落ちこぼれの神が、天に帰れるように100人の誉人の願いを聞かなければならない。
しかし人の気持ちがイマイチわからない稲荷神は頓珍漢な事をしたりもする。
近くの弁財天と協力して願いをかなえようと奮闘するうちに大事だと思えるものを見つけていく。
ちょっとずれた稲荷神と、それぞれの眷属である狐と白蛇のやり取りがかわいい。
深川佐賀町の水茶屋「ささげや」の女将・お玉。
彼女には裏の生業がある。それは人の掌から「人生の束の間が観える」というもの。
看板も挙げておらず、宣伝もしてはいないのに、口コミで信用できる人が時々訪れては、将来を占っていく。
そんなお玉と出会う人の中には、同じように勘が鋭かったり人が気づかぬことをよく観察していたりする者がいつの間にか集まっていた。
ちょっと変わった特技を持つお玉。
お玉の噂が易者たちを不安にさせたりもするが、総じて悪意を持つものは近寄ってこない。
いつしか店を譲れるほど信用を寄せる者もでき、先行きを案じていたのが嘘のような幸せもやってきて、穏やかな気分で終われる。
日ノ出楽志はもうすぐ父親になる。
だが不器用で家事では今でも失敗ばかり。
そしてやっと続いていた仕事もリストラされてしまい、楽志は落ち込むが、物を大切にするという楽志の得意な事を生かしてリサイクルショップに就職することになった。
楽志は知らなかったが、楽志が名付けた家具たちには、ココロが宿っていた。
家具たちのつぶやきが賑やか。
だけど内容は童話。
いずれ何かが起こるのかと期待したが、ずっとほのぼので終わった。
ぎんなみ店街で起きた不穏な事件に四兄弟が挑む。
シスター編で起こった事件を違う目線で追う兄弟。
元太・福太・学太・良太の兄弟で母は早くに亡くなり父は海外赴任中。
同じ事件が全く違う真実にたどり着いていた。
姉妹編よりも兄弟の個性が出ていて面白い。
違った目線で見れば違う真実にたどり着くのが不思議。
ぎんなみ商店街に店を構える「串真佐」。
焼き鳥屋の3人娘はそれぞれ佐々美、都久音、桃という。
ある日、近所の商店に車が突っ込み、運転手は焼き鳥の串がのどに刺さって即死する。
詮索好きの友人を止めるため、都久音は捜査に乗り出す。
商店街と、住人たちの間に起こる事故や事件の謎に、三姉妹は乗り出す。
名前の性で子供の頃からからかわれていた都久音。
詮索好きの友人には秘密にしていたが、だけど家族も商店街も好きだから、姉妹を巻き込んで捜査に乗りだす。
わいわいした雰囲気が楽しいが、推理というより想像と妄想で盛り上がっていた。
25歳のサチコは、不条理な派遣労働から逃れるように亜熱帯の台湾に渡り、偶然再会した在日コリアンのジュリと、台北の迪化街で暮らしていた。
誕生日の晩、サチコが古物商の革のトランクのなかに日本統治時代の台湾を生きた女学生の日記をみつける。
その日は買わずに帰ったサチコだが、ジュリがプレゼントに買ってくれ、中に入っていた古い日記を見つけた事から二人の生活は一変する。
それは、70年以上前に行方不明になった少女のものだった。
古い日記を見つけ、その書き手の事が気になり、少女の事を調べ始めた頃は、歴史を調べるくらいの気持ちでいたのに、いつの間にか少女失踪事件につながっていく。
日本と台湾の歴史的な事実による確執も加わり、どこか暗い時代。
日本と台湾をルーツとする二人が辿るのは謎解きの感覚もあって興味が続くが、次第に物騒になっていくあたりで失速。
でも、二人が前向きになっていくので辛いまま終わらなかったので気分よく読み終えられた。
自販機の側で夜中に騒いでいた若者の髪が燃え上がり、焼死した。
風呂場で心臓だけ腐った死体、海水浴の最中に突如火柱が立ち上ったり、幽体離脱して殺人事件の容疑者の車を見たという少年、池に浮かんでいたデスマスク。
警視庁捜査一課の草薙俊平が、不可解な事件の謎解きを、旧友の帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学に頼る。
ドラマで見た話もいくつかあり、どうしても映像が浮かんでしまう。
一つ一つは意外とあっさりした短編で、解明してしまえばすっかり興味を失う湯川が面白かった。
そして不思議な現象のカラクリを素直に楽しめたのは、ドラマと違って相棒は男性だったこともあった。
セレブたちが出資して自分たちのために作った「探偵倶楽部」。
会員のみが利用でき、秘密厳守な機関に入る依頼は、相続問題から婚約者の素行調査、そして殺人などいろいろ。
「家に帰ると母が殺されていた」アリバイのある父の言動を不審に思った美幸はVIP専用の調査機関に調査を依頼する。
呼ばれて出かける先の富豪の屋敷では、どんな以来が待っているのか。
金持ちたちが自分たちのために作った組織を利用する人たちの物語。
それぞれの事件、調査内容はミステリとして楽しめ、最後ははっきりと結果まで示すが、それを受け取った人がどう使うのかまでは書かれず、どれも曖昧に残してある短編。
しかし余韻を残すというよりは物足りない方が大きい。