新聞紙を鷲掴みにして死んでいた男性の捜査に来た私は、上司の音無刑事の美貌に見とれながら、妄想の中にいた。
家が裕福だから働かなくていいし、働きたくもないけど父親がうるさいので働いているように見えて実は怠けていられる仕事として探偵を選んだ物部太郎。
建築家が人を殺してまでこだわった家からの景観。
人死にが出ている事件ばかりなのに、どこかユーモラスな短編集。
事件を追いながらも何かに気を取られている人たちによって、時折おかしな妄想が入り込み、くすりと笑える出来事も起こる。
そのせいで深刻にはならず、意外な人が真相を言い当てたりと、どれも楽しかった。
個性的な人物もいて、短い割には印象に残る。