泣き娘


 葬儀の場で弔いのために泣くことが礼儀だった中国・唐の時代。
泣き喚くことを生業とした“哭女”として暮らしている燕飛には、秘密があった。
今日もいくつかの葬式を回り、弟妹のために稼いでいたら、ある時奇妙な恰好をした身分の高そうな男と出会う。

 まだ声変わり前の少年だからこそできる女装で、いろんな葬儀の場に出入りしているゆえか、いろんな人と出会う。
そんな中出会った危ういほど律儀な青蘭という男は、友人の戦死の状況を知りたいと燕飛に頼み込んできた。
卑しい身分の自分にも見下した態度を一切しない青蘭に協力していくうちに見えてきた真実。
いずれできなくなる“哭女”の仕事に悩んでいた燕飛が、青蘭と過ごしていくうちに将来をつかみ取る勇気を手に入れる様子に力が沸く。
そして成長し、離れてみて、これまで注がれていた優しさを実感する時の燕飛がまぶしい。
読みやすく、微笑ましく、見守りたいポジティブな感情だけが残る。