ベーシックスタイルのアランセーター


使用糸:ダイソー リサイクルポリエステル毛糸 (スモーキーピンク)
編み図:大人のナチュラルニット から
    ベーシックスタイルのアランセーター
使用針:6号棒針、7号棒針  385g

やわ肌くらべ


 「明星」の創設者、与謝野鉄幹。
若いころ教師をしていた頃から、人好きする性質を生かして女生徒と噂になったり、心地よい嘘で説得して妻としたり、いろんな女たちと関係を持ちながらも、歌人としての才能で後人も多く育てた。
一人の男と、彼を慕った女たちの人生。

 鉄幹に関わった女たちが、それぞれの思いをかわるがわる告げる。
鉄幹はとても魅力的な男として描かれているが、自分勝手な言い分に嫌な気分になることも多い。
それに振り回される女たちがつい許してしまったり諦めたりする気持ちの揺れ幅が大きいので、読み終わったときはすっかり疲れてしまっていた。
 妻の晶子は有名だが、鉄幹は存在すら知らなかった。

幽霊絵師火狂 筆のみが知る


 料理屋「しの田」のひとり娘である真阿は、胸を病んでいると言われ、外に出ずに部屋で寝ているか本を読んでいることが多かった。
ある時、江戸からやってきた有名な絵師だという火狂が居候をすることになる。
火狂は怖い絵を描くというが、真阿は彼の絵が気に入り、時折部屋へ訪ねて行っては絵を見せてもらっていた。
そして真阿は、夢を見るようになる。

 その夢は、火狂の絵と呼応するように人や景色を見せる。
体が大きく、みすぼらしい姿をしている火狂なのに、よく笑い、真阿には優しい。
二人の不思議なやりとりが短いのに核心をついているし、若い真阿が気づいたことと、父ほどの年の火狂が考える事の違いが比較されてなるほどと思わせる。
そして他人事なのにわざわざ出かけて行って事情を探ってくる火狂。
悲しい出来事と優しい人の話で、予想外に心に残る本となった。

ヘブン


 ヤクザともめてタイに逃げた真嶋。
しかしそこで真嶋は、麻薬組織に自分を売り込み、日本での麻薬販売ルートを乗っ取ろうと計画していた。
政界、芸能界、ヤクザとの後ろ暗いつながり、隠れ蓑となった宗教など、いろんなところが入り乱れて覇権を取ろうとするそこは、天国なのか。

 「あぽやん」シリーズとの差が大きくて、同じ作者だとは思えない。
全体的に裏社会の話なため暗いが、そこに入り込む月子のような女たちのおかげで華があるように見えている。
関わる人と立場が多すぎてややこしいが、それなりにいろんな面からの見方も入っていて何とか把握できた。
ケンカや銃、暴力や覚せい剤と、裏社会のものは何でも出てきた。
何かを成し遂げる話ではないが、一人の男の意地が強く残される。
探偵の田伏は重要な位置にいたような気がしたのに、さして活躍もなかったのが残念。

絵ことば又兵衛


 吃音がひどい又兵衛は、母のお葉と共に寺の下働きをしていたが、ある日寺の襖絵を描きに来た絵師・土佐光吉と出会い、絵を描く楽しさを知る。
それから又兵衛は良い出会いによって絵を習うことができるようになるが、母のお葉が毒を飲まされて殺されてしまう。
苦悩を抱えながらも絵をかいていく又兵衛は、自分の父は荒木村重であること、母だと思っていたお葉はもともと乳母であることを知らされ、また新たな苦悩を胸に住まわせることになる。
長の師であり友であった者たちが死んでいき、自らも老いを感じる頃までの、又兵衛の生きざまを描く。

 吃音によって周りから疎まれ、責められ、同情される日々が続いても、又兵衛は絵によって道をつくっていく。
どうにもならない世の中の流れにも、年を取ってから罪人とされてしまっても、自分を表現するのはいつも絵だった又兵衛の心情がじっくりと描かれていた。
最初は退屈に感じたけれど、飽きたと感じる前に引き込まれ、笹屋や光吉、内膳らと共に又兵衛の人生を見守っていたような気になった。

不村家奇譚―ある憑きもの一族の年代記


 山奥の村に代々伝わる大きなお屋敷を持つ一族。
そこは、憑き物の一族だった。
一族以外と健常者は食われるからと、使用人は奇形の人間ばかりが集められ、一族の者も、首から下はほぼないにもかかわらず生きている双子の片割れや、足がない代わりに天才的な頭脳を持つ跡継ぎなど、奇妙な子が生まれる。
その一族にはいったい何が憑いているのか。

 何代にもわたる不村家の物語。
不気味で、想像もできないような姿をしている者たちが住む家。
だけど淡々と時代が進み、奉公をしていた者が残した小説や、逃げ出した家人の行く末を見つける子孫など、様々な出来事がつながる瞬間があるためどんなことも見逃せない。
この一族に残る因縁は呪いか。
現代にはどんな影響が出るか、まだまだ続きそうな憑き物一族のこれからが気になる。

ふわっとした軽いカーディガン


使用糸:パピー プリンセスアニー(532)
編み図:大人のナチュラルニット から
     ふわっとした軽いカーディガン
使用針:6号棒針、4号棒針 360g

前作との比較
裾のガータ編みをゴム編みに変更


沈黙のアイドル


 声優を目指している林亜紀は、トップアイドル・小沼エリンの声真似が上手かった。
そのおかげで声優の仕事よりも先に、エリンの「声の代役」を頼まれ、なんとスイスまで行くことになってしまう。
しかしそこで、亜紀はエリンの死体を見つける。
パニックで何もできない亜紀に、犯人はエリン殺しを亜紀に擦り付け、切り立った崖から突き落とされてしまった。
亜紀の運命は。濡れ衣を晴らすことはできるのか。

 久しぶりの赤川次郎。
軽い語り口でするする進む物語は、あっという間に読めてしまう。
物騒な出来事が次々に起こり、剣呑な思惑を持った人がたくさんいるわりには明るく、主人公は強い。
何度も死にかけ、助けられる亜紀。
危険がてんこ盛りの割にあっさりと助けられるので妙に構えなくて済む。
そして必ず解決して終わることが分かっているので安心して読める。

ふわっとした軽いカーディガン


使用糸:ハマナカソノモノヘアリー(123)
編み図:大人のナチュラルニット より
    ふわっとした軽いカーディガン
使用針:6号針、4号針 180g 

余った糸でポケット追加


紅蓮の雪


 伊吹の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を向かえた日、なんの前触れもなく自殺した。
朱里が死ぬ1週間前にこれまで縁のない大衆演劇を見に行っていたのを知った伊吹は、何かの真実が知れればと大衆演劇「鉢木座」へ行き、若座長の慈丹からスカウトを受ける。
鉢木座で女方として活躍を始めた伊吹に、やがて自分の出生の秘密と鉢木座との関係を知る。

 双子の片割れを失ったことによる悲痛な気持ちと、親からの非道な扱いで苦しみ続ける伊吹の気持ちが、ひたすら綴られているためにずっと暗い。
親から無視され続けたくせに日舞だけは習わされていたり、なのに女の朱里にはやらせないで勉強だけさせていたりと不可思議なことは多かったのは、過去を捨てきれない親の我儘で、振り回された朱里と伊吹の辛さは想像もできないが、その一環した重苦しい空気は長く続けて読むのはしんどかった。