紺碧の海


 八丈島で生まれた留吉は、罪人の流刑地という場所から出たかった。
大工の棟梁をしている同郷の半右衛門の誘いで横浜へ移り、奉公先で商いを覚え異国語も学び、ウィリアム商館で番頭を務めるまで成長した。
半右衛門と留吉は、ある日見かけた羽毛の布団に衝撃を受け、鳥島という無人島でアホウドリを捕獲する事業を立ち上げる。
羽毛は売れ、富を手にする半右衛門と留吉。
しかし半右衛門は次の無人島を目指すことを毛隠していた。

 日本が鎖国の間放置していた近海の無人島を開拓しようと生涯情熱を持ち続けた半右衛門。
彼を目標にして学び、商人として力をつける留吉。
最初は半右衛門の力強さがまぶしく、魅力に惹きつけられるように勢いよく進むが、だんだんワンマンが目立ち、嘘も混ざってくる。
八丈島の人々を自力で生きていけるようにという目標が、いつしか半右衛門の王国へと進む工程に寒気を感じてくるようになってきて、大きな影響力を持つゆえの恐ろしさが協調され、不安が大きくなってくる頃、留吉は半右衛門の元を去る決意をする。
最後はなんとも苦しい結末。

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