月の見える窓


2015年07月05日 読了
 キャバクラのスカウトマンをしている晶彦。ある日、スカウトした女の子の一人、麻衣が子供を残して姿を消した。
麻衣を探し始めた晶彦は、麻衣の元夫や関係者を探るうち、もう一つの誘拐事件にいきつく。
それを解決しなければ、麻衣は見つからない。晶彦は誘拐された子供のために走り回ることになる。

 『オリンピックの身代金』と似た読み応え。
最後に残る犯人に、こんなゲーム感覚の脅しが考えられるのかと疑問に思うこともあったが、後半で増すスピード感が違和感を薄れさせる。

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四色の藍


2015年07月03日 読了
 夫を何者かに殺された藍染屋のおかみ・環。
犯人はきっと商売敵の東雲屋だと信じた環は、毎日のように店に押しかけ、その店の主人へ白状するよう迫っていた。
さらに環は、東雲屋で働く者に恨みを持つ人と出逢い、仲間に引き入れていた。

 4人の女たちは信頼し合っていたが、やはり隠していることもあり、決して騙すわけではないはずなのに、なぜか言えないままそれぞれが策略をめぐらす。
悲しい話も多かったけど、ある意味思いもよらぬ結末で、予想通りすべて丸く収まる。

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狼のようなイルマ


2015年06月30日 読了
 都内で毒殺死体が発見される。違う場所でも、また違う毒による殺人が起こり、イルマは二つは関係があるのではないかと考えた。それは身元不詳の『蜘蛛』と呼ばれる男の仕業だった。

 血の気の多い、元交通機動隊の検挙率No.1女刑事・イルマが、上司からの命令もおおよそ無視して突き進む。

 10年温めてきた作品だと言うが、「クロハ」シリーズそのまんま。
パラレルワールドか、設定を流用したか、関連作品かというくらいそっくりで、新鮮さも面白みも全くない。

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源平六花撰


2015年06月27日 読了
 平家が滅びる時に巡り合わせた者たち。
女院らとともに西海に逃げた松虫と鈴虫の姉妹、流罪で鬼が島と呼ばれる島へ流された都人と島の娘との交流など、女たちの目から見た平家滅亡。

 古い書物の様な言葉が、意味をたどるのに戸惑うこともあるためゆっくりとしか読めなかったが、噛みしめるように語られる女たちの心があらわされているようでちょうど良かった。

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八万遠


2015年06月26日 読了
上王が統べる島国「八万遠」は、いくつかの州に分かれていた。
それぞれの州で小さな争いはあれど、おおむね平和な世が流れていた頃、一つの州で豪胆な長男が謀反を起こし、弟を切り殺し、父を幽閉した。
まるで平和に飽いたかのような所業から始まる、八万遠全土を巻き込む嵐。

 州ごとの風土や信仰が解り易く区別されていて、知っている地名はあっても全く違う土地の事なのに馴染みやすい。
これで終わりというよりこれから物語が始まるかのような終わり方で、まだ序章ではないかと思えるほど。続きが気になる。

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ミツハの一族


2015年06月22日 読了
 未練を持って死ぬと鬼となり、水は汚れ、井戸は錆び、やがて水源は枯れてしまう。
そのものの未練を断ち切り、黄泉へと旅立たせる役目を負ったのは二人。一人は夜目が利き、一人は鳥目である。

 不思議な一族の因縁を嫌い、医者になって目の研究をするのだという若者がいた。
だが、水が濁ったと電報を受け取れば飛んで帰ることになったのは、もう一人の役目の者と顔を合わせてしまったからだった。

 神話の世界に閉じこもったままのような一族。どこかで大事に隠されているものを見たような気分になる。

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四季彩のサロメまたは背徳の省察


2015年06月19日 読了
 私立高校の朗読部の主・華影忍は、〈歩く女百科全書〉を自称するほど全校の女生徒を知り尽くしていた。あらゆる意味で。
そんな朗読部の後輩・通称「カラス」と、ある姉妹に振り回された1年を綴った物語。

 魅力的な太腿をもつ女性を手に入れるために忍が行った行為、どうやらライバルであるカラスに放つ罠。それまでは楽園での権力を甘受していた忍が、その姉妹によって狂わされ、陥落していく事すら快感だと思わされる様子が美しく描かれている。
魅惑的で背徳感いっぱいの世界に、冷静でいるつもりがいつの間にか溺れていく忍と一緒になって溺れられる。

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the SIX ザ・シックス


2015年06月17日 読了
 人より優れた能力を持つ人たちは、いる。
 強力な帯電体質のため、電化製品が家に置けず、常にアースしていなければいけない少年や、明日の惨事が見える少女、それぞれは孤独で、自分の力に困っていた。
大学で超心理学を研究している飛島潤は、そんな人たちに会い、記事にしてきた。

 現実にそんな力があったらさぞ生きにくいだろうと思う出来事でいっぱい。
超能力という言葉にすると胡散臭くなるが、本当だったらこんなことが起こるのかと思えてくる。

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鷹ノ目


2015年06月17日 読了
 父とそりが合わず、家を出て賞金首を捕らえて金をかせぐ浪人となった渡辺条四郎は、その腕と獲物を見つける能力の高さで『鷹の目』という二つ名で有名になっていた。
寺の僧に化けて泥棒に入る物、村の水盗人の身代わりにさせられるはずの男など、様々な事情で追われるものを見つけ、できれば生きたまま捕らえるのが信条。

 ことさら犯人の事情を汲んで同情したりはせず、死なない程度に容赦はしない条四郎。
そのあたりの他人への冷たさがうまく書かれている。
その行いが母の敵へと繋がっていくまで。

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ご破算で願いましては: みとや・お瑛仕入帖


2015年06月13日 読了
 事故で両親を亡くし、兄と二人で小さな店を開いたお瑛。
いつまでも若旦那気分で風来坊な兄が仕入れてくるいわくありげな品々にてんてこ舞い。

 助けたり助けられたり、傷ついたり傷つけられたり。
それでも何とか生きている二人だが、お瑛の人格にいまいち統一感がない。
どんな人物でもそれなりに人物像が出来上がっているものだが、お瑛に関してはリアル感がないためか、幽霊か兄の想像かといった存在感。
主人公がそれなので、印象も薄い。