さざなみの国


2015年06月11日 読了
 商人とすら顔をあわせずに売り買いをし、地図にも載ってない。
そんな村で生まれた「さざなみ」は、村の滅亡を悟った村人たちに救いの知恵を探してくるようにと村を出された。
 旅に出たさざなみは町に出、父親の家族や許嫁、男勝りな王女と出会い、自分の生きる意味を知る。
 
 隠れた村には秘密があるのだが、さざなみが主人公だと思っていた物語は途中で意味を変える。ほんの数行で。
淡々と語られるために特別な感情移入がなく、そのせいか遠い異国の昔話のようで不思議な魅力があった。

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欠落


2015年06月09日 読了
 警視庁捜査一課刑事の宇田川は、女性殺害・死体遺棄事件の捜査をしていたが、一向に進展しない。
一方で、他の事案の立てこもり犯が人質の交換に応じ、宇田川の同期である女性警察官と共に逃走した。
二つの事件に妙な引っ掛かりを覚えた宇田川が思い悩んでいた時、見計らったようにもう一人の同期から電話が入った。

 裏の事情に振り回される現場と、それを感じて独自に動き出す宇田川。
リアルすぎる刑事ものはすぐに忘れてしまうから、これくらい大げさなほうがかえって興味を引く。どこで繋がってどこがシナリオを描いているのかと想像するのが楽しかった。

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仮面の街


2015年06月05日 読了
 孤児の少年ロウニーは、ある日街にやってきた仮面の芝居のゴブリン一座と出会う。
そこで行方不明の兄の噂を聞いたロウニーは、ゴブリン一座と一緒に行くことにした。

 子供を集めていいように使う魔女、芝居を禁止された街など、どっぷりとファンタジーに浸かれるはずが、どうしても読み進む気がしないまま終わる。どこにも夢中になれる文が見つからなかったのは、訳のせいか、原作のせいか。

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事故係 生稲昇太の多感


2015年06月02日 読了
 生稲昇太、22歳。愛宕南署交通課巡査。
色んな上司や同僚に囲まれ、正義のために見逃せない事故や違和感を追及するために熱意を燃やす。

 一つ一つの事故を短編として見ていくわけでもなく、陰に潜む大きな隠ぺいを暴くための長編でもなく、中途半端に進む。
そのせいで見どころもなくぼんやりといつの間にか終わる感じで腑に落ちない。
この人は何がしたかったのか?

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首都感染


2015年05月30日 読了
中国でワールドカップが行われている最中、遠く離れた雲南省で、致死率60%の強毒性新型インフルエンザが出現していた。
いくつもの村が全滅し、ワールドカップ中止に伴って帰国する世界中のサポーターの流出と共に、地球規模へと広がる。

 よくあるパンデミックのせいで起こるパニック映画そのもの。
日本が行った封じ込めが成功して世界から注目を浴びるが、都合よく進んでいく思い切った戦略は、どこの国が舞台でも成り立つ過大な自己評価の結果。

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漏洩 素行調査官


2015年05月28日 読了
 捜査二課の戸田光利は、ある日突然移動させられた。
大規模なインサイダー取引疑惑を調べていた警視庁人事一課監察係の3人は、その移動を怪しげだと思い始める。

 小粒ばかりが逮捕されて終わったり、うやむやになってしまっていた疑惑を抱えたまま、戸田は警察を辞め、その秘密は消えてしまうものと思われていた。

 話の流れに乗り切れないまま終わった。
最後は解決するための証拠をそろえて終わるため、ほっと一息つけたり、疑惑を晴らしてスッキリする場面がない。そのためどこかうやむやで、適当なところでかわされた感じで後味が悪いというより後味すらない。

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ごんたくれ


2015年05月24日 読了
 京の絵師である、ふたりのごんたくれの生涯。
当代一の誉れ高い絵師・円山応挙の弟子・吉村胡雪となった彦太郎。
その師匠応挙の絵を『絵とは言わん』と否定した深山箏白こと豊蔵。
二人はことごとく対立し、悪口を言い合い、めったに顔も合わせないが、相手の絵は認めている。

 素直になれない二人のごんたくれの生き様が、師匠が逝き、仲間が逝き、やがて一人になるところまで描かれている。
始めは二人に興味を引かなかったが、すぐに所心読み返したくなるほど一文字も逃したくない思いが湧き、最後はどうなるのかとわくわくして止められなかった。

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注文の多い美術館 美術探偵・神永美有


2015年05月20日 読了
 京都の美大で准教授をしている佐々木は、知識はあるがヘタレで、思いを寄せる元教え子の琴乃が結婚すると聞いて動揺する。
 琴乃から、嫁ぎ先に代々伝わる家宝の真贋を頼まれた佐々木は、味覚でその価値を見極めることができる神永美有に頼り、他力本願で解決しようとする。

 真贋は神永美有に見てもらい、確信を持ててから理屈で説得するという、情けない佐々木。脇役度もまだ足りないくらいの存在感で、出てくる品の魅力がよけい際立つようになっている。
 あまり続きは気にならないのにシリーズとなっている。

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稽古長屋 音わざ吹き寄せ


2015年05月18日 読了
 三味線の師匠をしているお久は、足を悪くするまで芝居小屋で女形をやっていた兄と二人で稽古屋をやっている。
そこへおさんどんのお光と猫の小太郎を加え、穏やかな日々を過ごしていた。

 稽古のお客やお世話になった芝居の師匠らが、お久たちの毎日を忙しくする。
やがて兄の足や出生のことにまで飛び火し、生きていると必ずとこかで起こる災いと向き合わなければならなくなる。

 それぞれの気持ちが丁寧に書かれていて、どんなことも他人事じゃない気になってくる。

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日本橋本石町やさぐれ長屋


2015年05月15日 読了
 日本橋本石町にある、通称“やさぐれ長屋”と呼ばれる弥三郎店。
そこで暮らす人々のちょっとした出来事が順に綴られ、やっかいで愛しい人間関係を紡ぐ。

 そろそろ嫁取りを考えている男が気になったのは気が強い出戻りの娘。突然言い寄ってきて勝手な思い込みで結婚を迫る男。仲の良い夫婦の旦那の方が実は寄場帰りだという噂が立つ。。。

 人のなすこと思うことは、いつの時代も同じ。
いろんな立場から見ても、やっぱりそれは変わらない。
江戸が舞台の話ではあるけど、妙にリアルですとんと馴染む。

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