スカラップ模様のショール


使用糸:リッチモア ヘルシンキ(5)
編み図:まきものいろいろ から
     スカラップ模様のショール 128g
使用針:12号 輪針

前作


高校事変 X


 名門私立高校・慧修学院高校三年の生徒たちが、国際文化交流のためホンジュラスを訪問するというニュースを目にした。
結衣は、かつて父が建てた計画を思い出す。
そしてホンジュラスでは、メキシコの武装勢力ゼッディウムに襲撃され、日本へ身代金の要求が来る。
結衣は兄を止め、慧修学院高校の生徒たちを救うため、ホンジュラスへ向かう決意をする。

 ついに最後の決戦か。と思ったらまだ続くらしい。
今度は日本を出て戦闘区域での戦いで、結衣は本場の戦場でこれまでとの大きな力の差に翻弄される。
それでも力になってくれる大人と出会い、知恵と機転で切り抜ける自分の長所を知る。
場所や相手は違っても、これまでと同じような展開となり、そろそろ高校を卒業する結衣はこれからどうするのだろう。

高校事変IX


 川崎市に家がある長谷部家。ある日玄関のベルが鳴り、戸口に顔を出した主婦の恭子は、そこにぼろぼろの格好をした有名人を見た。
フェリーから逃げ出してきた田代勇次は、かつて一度ファンイベントで合った家族の元へ逃げ込み、そこであっという間に一家を制圧し、仲間を集め始める。
勇次の目的は、結衣。

 結衣に殺意を向ける勇次との決戦。
もうアイドルの顔は打ち捨てた勇次が、あらゆるものを利用して結衣に迫る。
同じような境遇で、同年代の相手との対決だからか、むしろ手こずっていたよう。
これまでの大げさなほどの戦闘の大きさと異様さには、映画のような突き抜けた感じがあったが、今回はこじんまりとした雰囲気。
そして最後は大人の大きな力に頼り、高校生の世界の狭さを思い知らされている。

アイコード使いのショール


使用糸:リッチモア ヘルシンキ(8)
編み図:まきものいろいろ より
     アイコード使いのショール 280g
使用針:12号 輪針

手袋の中の手


 探偵ドル・ボナーは、共同経営者シルヴィアの後見人であるP・L・ストーズから、妻に取り入り、金を巻き上げてる宗教家を妻から放したいと依頼を受ける。
しかし、動き始めた直後、依頼人のストーズが死体で発見される。
自殺か殺人か、若き探偵ドルは、警察と時に協力し、時にからかわれながら、事件解決のために奔走する。

 話がくどい登場人物が多く、うんざりしながら読んでいたせいか全く話に入り込めず。
結局最後までよくわからないまま。
主人公の魅力も感じられないし、印象に残ったのはむしろ共同経営者のシルヴィア。

11月そして12月


 高校も大学も中退し、今はカメラを持って虫を撮り歩いているフリーターの柿郎。
ある日公園で出会った女性に恋をした。
しかし、彼女と親密になる前に家族に巻き起こった不穏要素が、暇なはずの柿郎を忙しくする。
父の不倫に姉の自殺未遂、挙句には「彼女には関わるな」と言いに来る男性まで。
冬のひと時、柿郎に起こった大騒動。

 柿郎の口調が淡々としてどこか長閑なせいで、緊急事態もするりとやり過ごせそうな気がする。
出会った女の子が気になって調べたり家に押しかけたりというのはちょっとやりすぎだが、柿郎なら不思議はないような気になってしまったり、父の身勝手な理論も受け入れて協力させられたり、母にも使い走りをさせられて、それでもそれが自分のやりたいことだったという雰囲気を出す。
やっかいな男だが憎まれはしなさそう。

捜査一課OB-ぼくの愛したオクトパス


 初老の巡査長・鉄太郎と、若手キャリアの警部・賢人。
二人が今手掛けているのは風俗嬢ばかり狙った通り魔強盗事件。
頑固な鉄太郎に冷や冷やしながらも、捕まえた容疑者に賢人は違和感を覚える。
そんな時、母が浜辺で捕まえた傷ついたタコを飼い始め、ソクラテスと名付けたそのタコに触れられると不思議な予感を得られることに気づく。
頭の良いタコに導かれる賢人。

 赤川次郎のような読みやすさと、大倉崇裕のようなタイトルで、どちらも二番煎じ感たっぷり。
特に個性的な部分があるわけでもなく、すぐに埋もれてしまうような話なうえ、プロローグ的な周囲の説明が長くてうんざり。
視点がそれぞれの登場人物に何度も切り替わるため、いろんな角度から見られるがちょっとうるさい。
賢人の母の久子が癒しとなる。

リーフ模様のショール


使用糸:ハマナカ モヘア <カラフル> (30)
編み図:おでかけニット vol.1 より
     リーフ模様のショール 180 g 7号針

レンタルフレンド


 友人や恋人、ママ友や人数合わせ、何でも来い。
大手の商社を辞めて始めた仕事はレンタルフレンドで、七実はあらゆる人物になりきる。
デザートブッフェへ一緒に行ってほしい、月に一度一緒に映画を見に行って感想を話し合う、婚約者の友人たちの集まりに一緒に行ってほしい。
依頼のなかで、七実は依頼者の人となりを観察していく。

 依頼してくる人にはいろんな理由があって、それでも依頼者に嫌な思いをさせないように精いっぱいのことをする。
人見知りせず、物怖じしない七実の様子は頼もしいがハラハラする場面もある。
同業者と出くわすこともあるし、設定がばれそうになることもあって、何とか乗り切ってはいるがちょっと都合が良い進み方。
それでも最後は前向きなシーンで終わるのでほっとした。

風景を見る犬


 那覇市大道の栄町にある売春宿の息子・香太郎。
「アミーゴ」でバイトをして、平和な夏休みになるはずだったのに、近所で2件の殺人事件が起きてしまう。
狭いご近所さんでそんな偶然はおかしい。
 自由で頼もしい近所の有力者の母、いつの間にか疎遠になっていた隣の幼馴染、女好きで悠々自適な近所のゲストハウス「アミーゴ」のマスター、そしてふらりとやってくる本土からの素性のわからない旅行客。
香太郎はいつの間にか、母や居候と共に事件を探る役割を担う。

 被害者の過去が分かってくるととたんに複雑になる事件。
捜査に顔を突っ込んで不思議と情報を集めてくる母達に振り回されているようで、香太郎はしっかり周りを見渡している。
そして皆は、沖縄のゆるりとした曖昧な雰囲気の中で何年も前の重い秘密を探り出してしまうが、当事者がすべていなくなり、彼らの気持ちを注がれた「今生きている者」を守るために考える。
 むやみに犯罪を暴くことをしない。