ラプソディ・イン・ラブ


2011年01月09日 読了
 日本の映画界を支えてきた俳優、伝説の女優と言われたその妻、子供たち、その婚約者。

 本当の家族が、家族を演じる。

 発想が面白い。ドキュメンタリーのような劇。
自然なしぐさと会話だけれど、カメラがある間は全て演技である。

 作者らしい穏やかさがジワリと哀しみを誘い、淡々として何事も起こらないのに飽きない。

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星々の舟


2010年12月27日 読了
 一つの家族の、それぞれの世代が持つ、それぞれの悩み。
それらは長く心にあり、おいそれとは解決しない。

 一人ひとりの視点から、一家族を何十年も眺めていった物語。
淡々と流れる時間が、重い事実を少しずつろ過していく。

 おそらくそれほど不思議ではない家族の様子が描かれている。

近頃はこんな感じの、じわりと暗い時間が一筋流れる小説が増えたような気がする。

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アダルト・エデュケーション


2010年12月11日 読了
 女が求めるモノ。恋愛・性的ファンタジー。
密やかゆえに強烈に求める12人の女たちは、少しの揺らぎで崩れもするし、満たされもする。

 体は満たされても淋しいまま、どろりと横たわる言葉にできない何かが引きずり出されてくる感覚。

 短編でさらりと終わるため、女たちの力はまだ残されていると感じる。

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アルバトロスは羽ばたかない


2010年12月05日 読了
 七海学園に勤めて3年目の保育士・北沢春菜がその冬体験したのは。。。

 学園の少年少女が通う高校の文化祭の日に起きた、校舎屋上からの転落事件。

 前作と違い、一つの事件の周りに伏線の事件がまとわりついていて、混乱させる。時間軸や主人公までも。

 最後は「やられた」と呟けるほど見事で、どこから騙されていたのかと何度も読み返すこととなる。

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千里伝 時輪の轍


2010年11月28日 読了
 千里は修行に出た。そして、そこの師である麻姑の元で弓を引く鍛錬をするうちに、気配もなく迷い込んできた少女をかくまうことになる。

 その少女は時空の片割れ、空。
空翼と名乗る少女は片割れの時である時車の起こすイタズラによって歪められた地を見ていた。

 千里がまた仲間と共に時空の歪みを正す旅に出る物語。
相変わらず挿絵の違和感がどうにも不愉快だが、前作よりわかりやすくなっている。

 この世界のどこかで、僕僕と王弁も旅をしていそうな気がした。

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叫びと祈り


2010年11月20日 読了
 雑誌記者の斉木。外語大を卒業し、7ヶ国語を操る斉木は、様々な国へと取材へ出かける。

 道を知る者とラクダがいなければすぐさま死につながる砂漠。聖人の存在を信じ続ける修道女。自分たち以外は無いに等しいとまで言い切る部族。

 物語の一つ一つに、必ず含まれる『ただ言ってないこと』。
消して秘密じゃないし、ただこちらが勝手に思い込んでいただけなのだが、その事実を明言していないことで起こる勘違いが、結末を惹きたてる。

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キケン


2010年11月14日 読了
 成南電気工科大学機械制御研究部。略称「機研」。
無理や無茶といった言葉を知らない若い男子大生たちの、「本気で遊ぶ」大学生活。

 自分も工学部だったせいか、どこか親近感が沸く。本当に男ばかりの環境では、きっともっと想像もつかないようなことが起こっているんじゃないかといつも思っていた。

 見ているだけでも楽しくて、仲間に入りたくてしょうがないけれど、女が一人入るだけでいつもの楽しさは半減するんだろうなぁ。

 大学時代の馬鹿騒ぎ加減は「鴨川ホルモー」よりも上品だが、パワーは負けてない。

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空へ向かう花


2010年11月11日 読了
 知らない女の子を殺してしまった。事故だったけど。たまたま僕がそこにいただけ。でも、僕が死んだらあの子にあやまれるかな。

 ビルの屋上で飛び降りようとした少年を、とっさに止めた少女がいた。
 二人の出会いは、これは運命??

 「子供は守らなければならない」作者は必ずそれを作品に示す。
詳しくは語られない事件を根として、穏やかに穏やかに進む物語。

 どうしようもないけれど、絶対に失望はしない物語。

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まほろ駅前番外地


2010年10月31日 読了
 便利屋の二人。年をとるとなにかしら闇や傷を持ち、時々それらを思い出しながらも目の前のことを頑張っている。

 淡々と生きているように見える二人がしている、便利屋という仕事。前作を読んだのはいつなのか覚えていないのに、二人のことは割といつも気になっていた。 そんな続編には、やはり退屈な仕事の裏にいろんなものが見える。

 雨の日に読むにはぴったり。

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まほろ駅前番外地 [ 三浦 しをん ]
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シアター!


2010年09月17日 読了
 いつの間にか300万の負債を抱えてしまった小劇団。大学からの続きで商業的に黒字が出る運営ができなかった甘ちゃんたちの集まり。
 その主宰である巧に泣きつかれた兄・司は、「2年で返すこと。できないなら劇団を潰せ」と言い放つ。

 司の厳しい言葉と優しい行動がほほえましく、こんな兄がいたら甘えないでいられるはずがない。
 小さなパニックを繰り返しながら進む劇団に、私も司同様スポンサーになった気分が味わえた。

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シアター! (メディアワークス文庫) [ 有川浩 ]
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