無人地帯


2012年03月15日 読了
 ウルフプロジェクト。
崩壊しつつある森林に、生態系の頂点に立つオオカミを放つことで、正常な森を取り戻す。

 このプロジェクトは、すでに海外では成功例がある。
他国から持ってきて日本で繁殖させ、固有種を生みだそうというのは、トキでは良くてオオカミでは反対が多いのはオオカミの恐ろしいイメージ故か。

 このプロジェクトを題材にした小説はいくつか読んだが、どれも暗いのが嫌。個人的には賛成なんだけどなぁ、このプロジェクト。

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要介護探偵の事件簿


2012年03月12日 読了
下半身不随になり、要介護認定をうけた玄太郎おじいちゃん。
足は悪いが口も頭も達者で、不甲斐ない相手には所構わずどなり散らす。その性格のために信望者も多いが敵も多い。

 昔ながらの頑固老人といった感じで、無礼や無作法は余所者であってもかまわず叱る。
 そんなおじいちゃんが、警察はあてにならんとばかりに事件に首を突っ込む様子は、表紙の絵そのものでほほえましい。
 是非続きが読みたい。

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死者はバスに乗って


2012年03月10日 読了
 信号無視をした幼稚園バスのせいで、事故が起こる。しかしそのバスを観たのは大勢の目撃者の中でたった数人だった。

 幼稚園バスが死者を『連れて』くる。
幼くして死んだ子供たちを家まで送り、生きている人の過去を悔む気持ちを増幅していく。

 『幽』怪談文学賞長編部門大賞受賞作。
ホントにこれが受賞??
幽霊が出てくればいいってだけか?

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死者はバスに乗って (幽books) [ 三輪チサ ]
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素人がいっぱい


2012年03月08日 読了
 主人公の勇吾は、「ラブホリック」というデリヘルの店長。
インドでのヨガの修行を終えてふらりとやってきた居候の宗介と、店の女の子たちも織り交ぜ、いろんな謎に立ち向かう。
 と言っても大きな事件ではなくて、家出した子だったり自分を見失った男性だったりが相手の、少しの謎。

 推理する宗介自信も過去の傷に囚われているが、その宗介の柔らかいコトバが優しい。

人を殺したい。自分を殺したい。怖い言葉が並ぶけど、本当は苦しい。

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プリティが多すぎる


2012年03月02日 読了
 出版社に勤める主人公の佳孝は、社内の配置転換でローティーン向け雑誌の「ピピン」編集部へ異動になった。
 ピンクでキラキラでちっちゃくてたくさんの服や髪飾りや小物達の中で一人、眩暈を覚える。

 文芸部門への希望と憧れを捨てきれないまま、中学1年から高校1年までのモデル「ピピモ」達と撮影と編集の日々に浸る。

 いい大人の男がそんな雑誌に関わっているなんて友達には言えないし、仕事に胸を張れない。それでも割り切って仕事を進めていくうちに見えてくるもの。
 いつもの本屋シリーズより数倍はおもしろかった。

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東京ピーターパン


2012年02月28日 読了
 すれ違う数人の男たちが、やがて集うとこになり、一つだけ歌を生む。
 とても小路幸也らしい物語。

 淡々とした独り言からだんだんと声が重なっていく、ラヴェルの「ボレロ」のよう。
 穏やかで暖かくて、ハッピーエンドがうれしい。

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スノウ・グッピー


2012年02月27日 読了
 グッピーが水槽から逃げ出した。
研究中の”電子機器”を積んだ自衛隊の訓練飛行機が、墜落した。
あれは重要機密のはずで、新聞発表もされていない。なのにアメリカは当然、ロシアや中国までが墜落地点へサメのように集まってくる。そして開発に携わっていた山田が消えた。

 グッピーという名の電子機器を追う者は一体どれくらいいるのかと混乱させる。
でも広げた割にはなんだか拍子抜けした結末だった。

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眠れない夜のための短編集


2012年02月22日 読了
 妖しくて、近寄ってはいけないようなホラー作品。
短編集なので展開が早く、思いもよらない方向へどんどん進む。
だけどどれも救いがないままで、「世にも奇妙な物語」のよう。
映像がない分ホラー要素は低いけど、眠れない夜に読んだらきっともう眠ろうとは思えない。

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神去なあなあ日常


2012年02月21日 読了
 高校を出たら、適当にフリーターで食っていこうと思っていた主人公・平野勇気。
 担任と親に勝手に放り込まれた山の中で、なぜか林業見習いをする羽目になる。

 理由なんてわからないけど不思議な風習がたくさんある村で、勇気は少しづつ山の仕事を始める。
 いまどきの若者らしく、「ありえねー」「おかしいだろ!」「殺す気かっ」なんていう突っ込みがあちこちにまぶされ、厳しい仕事の中の楽しさをちゃんと伝えている。
 登場人物の濃さもすごいけど、山の雄大さと言うよりはスピード感がものすごく、一気に読める。

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神去なあなあ日常 [ 三浦しをん ]
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上陸


2012年02月19日 読了
 ようこそ、密航天国へ。
社会の底辺で、あきれるほど金がない3人が暮らす。
元サラリーマン、すでに前科者の若者、不法滞在の外国人。
それぞれワケありの3人が、同じような立場の者達と出会い、少しの間同じ時を過ごす。

 タイトルの意味は最後にわかる。
息をひそめるように生きていても、いずれ別れることになっても、今は家族のようなこの暮らしを楽しんでいる。
 切ない回想録だけど、誰も絶望してはいない。

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