2010年09月17日 読了
いつの間にか300万の負債を抱えてしまった小劇団。大学からの続きで商業的に黒字が出る運営ができなかった甘ちゃんたちの集まり。
その主宰である巧に泣きつかれた兄・司は、「2年で返すこと。できないなら劇団を潰せ」と言い放つ。
司の厳しい言葉と優しい行動がほほえましく、こんな兄がいたら甘えないでいられるはずがない。
小さなパニックを繰り返しながら進む劇団に、私も司同様スポンサーになった気分が味わえた。
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読書と編み物の記録
2010年09月17日 読了
いつの間にか300万の負債を抱えてしまった小劇団。大学からの続きで商業的に黒字が出る運営ができなかった甘ちゃんたちの集まり。
その主宰である巧に泣きつかれた兄・司は、「2年で返すこと。できないなら劇団を潰せ」と言い放つ。
司の厳しい言葉と優しい行動がほほえましく、こんな兄がいたら甘えないでいられるはずがない。
小さなパニックを繰り返しながら進む劇団に、私も司同様スポンサーになった気分が味わえた。
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2010年09月14日 読了
進路を決められるほどの主義もないままニートへ突入した主人公・梅本杏子が、決めてきたアルバイトはデパートの和菓子店。
見た目もぽっちゃりで大福のような杏子は、すぐさま「アン」というあだ名がついた。
見た目はまっとうだけど中身は不思議な人たちと、「ちょっと不思議」な出来事が和菓子にからめて解き明かされる。
ふんわり優しくて本当に和菓子のような物語。
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2010年09月11日 読了
沖縄で生まれ育った主人公・莉子は、壊滅的に勉強のできない子だった。
なんの根拠もなく東京に出、そこで出会った大人のところでやがて才能を開花する。
ある日精巧に作られた偽札がばらまかれた。当然のようにインフレになり、日本経済は崩壊する。
その発端に出くわした莉子は、なんとしても原因を解き明かそうと・・・。
とびぬけた知識と観察。
作者のもつもう一つのシリーズ「千里眼」と同じ素質を持った主人公。
流れはやはり同じ。最後には莉子の言葉で霧が晴れる。
登場人物に愛着が持てれば長く読めるシリーズになるか。
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2010年09月09日 読了
不良少年が担任につれてこられたところは落語の師匠のところだった。
大酒飲みで借金だらけのその師匠に、なぜか弟子入りを許された竜二。そこで師匠や兄弟子にいじめられながらもなぜだか素直に言うことを聞き、理不尽ないい付けにも従う。
いつの間にか気に入っていた落語の世界で、様々起こるわけのわからんことを竜二が解く。
それは不思議と落語の中の話とリンクする。
きつい方言もさらりと読める。やりたいほうだいの権力者と新人という、普通の設定がとてもわかりやすい。
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2010年09月03日 読了
50時間起きて20時間眠る体質。拾った二億円。突然消えた母。強盗に殺された父。
さらっと闇に巻き込まれ、周りの人間を引きつけながら二億円と過去の犯罪をも取り込もうとする主人公。
ミステリなのに爽やかな感じで流れるやり方は作者らしい。
飛び込んできた女の子とあっさり恋仲になるのは草食系ゆえか。
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2010年08月28日 読了
目の前で母を、腕の中で妹を失った。
空襲により地獄と化した仙台で、途方に暮れる主人公が生きる様を描く。
決して前向きな方ではなく、ただ生真面目なだけの主人公だが、少しずつ何かを覚悟して生きる様子は切実。
でも最後の打ち入りはなんだか2時間ドラマの強引な収束と似ていて無茶がすぎた感がある。
その点を除けば途切れなく興味をそそる文体で、最後まで一気に読めた。
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2010年08月25日 読了
人工知能の研究を目的とした子供型ロボットに心理を学ばせ、ヒトの表情や声のトーンを察知して相手の心を推し量ったり、ナノマシーンを体に入れて治療やダイエットをしたり、ほとんどすべての家事を代行してくれる家だったり。
近未来の日本、色々な技術で今よりもずっと暮らしやすかったりするはずなのに、困惑も悩みも解決法まで、今とすっかり同じ。
そんな皮肉めいた哀しみが淡々と語られる。
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2010年08月24日 読了
不良が咄家に弟子入りした。
1年がたっても下っ端で、理不尽な師匠も相変わらず。
サクサクと進み、読みやすい。
馴染んだ関西弁がメインだから、ニュアンスやスピード感が心地よい。
もちろん落語を知らなくても充分楽しめた。
ありふれた感はあるものの、若者らしい怖いもの知らずの主人公が楽しくて、「伝統芸能の世界でも、いずれこんな奴が出てくるかもなぁ」と思わせる。
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2010年08月21日 読了
ホームズとワトソンの鳥井と坂木。
彼らの世界は少しずつ広がる。
もうすっかり認知された二人の関係だが、今回は鳥井の弱い部分はほとんどなかった。でもそれは、鳥井の鳥井らしさが少しなくなってしまったようで寂しい。
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2010年08月20日 読了
引きこもりの友人・鳥井を、出来るだけ外に連れ出そうとして、いろんな問題を持ち込む主人公・坂木。
いつもは口も態度も悪くて愛想もない鳥井だが、その洞察力は引きこもっている人とは思えないほど「ヒト」を読み解いていく。
そんな鳥井が、坂木の感情の揺れに呼応して自分も揺さぶられてしまう危うさが、なんだかとても愛しくなる。
一瞬のうちに子供の口調になり、さっきまでの冷たいほどの理知的な顔がぐちゃぐちゃに崩れる様は、滑稽だけど人ごとじゃない気がする。怖いけれど目が離せない。
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