ダイヤ模様のストール

使用糸:リッチモア アルパカレジェード(7)
編み図:「まきものいろいろ」から
      ダイヤ模様のストール 201g

鐘を鳴らす子供たち


 戦争で日本が負け、まだ復興には程遠く、なぜかいつまでも食糧不足な昭和22年。
教科書に墨を塗るように言われ、毎日歌っていた歌を禁止されても、大人たちはなぜそんなことをするのか誰も教えてくれなかった。
そんな頃、副担任の菅原先生から「日本放送協会が、子供たちを主人公にした放送劇をするので参加してほしい」と言われる。
訳が分からぬまま、家の手伝いをしなくて済むという理由で参加することにした良仁は、忘れられない経験を得ることになる。

 ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」をモチーフにした作品。
といっても存在すら知らなかった。
子供たちが、これまでとは全く違った世界で、未知のものに興味と恐れを抱いていく様子が大きな圧倒間で迫ってくる。
複数の子供たちの特徴がくっきりとしていて混乱もなく、目が離せないほどの緊張感があるわけでもないのに止まらない。

むすびつき


妖退治で有名な高僧、寛朝から呼び出しをうけた若旦那。
しかも、妖と共に来てほしいと言われ、長崎屋の面々はそろって広徳寺に出向いた。
そこで見せられたのは、どうやら付喪神になったばかりの小さな玉。
そしてその玉は、若旦那のもとへ行きたいと願っていたようだ。

今回は若旦那の前世とかかわりがある話が続く。
安定のクオリティだが、その分ほっこりしたりやきもきする出来事が少なくなってきた。
皆といつまでも一緒にいたいと願う若旦那の気持ちが、変化を恐れているよう。

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むすびつき [ 畠中 恵 ]
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アリス殺し


 毎日同じ世界の夢を見ていることに気づいた大学院生の亜理。
ハンプティダンプティが死んだと聞いた次の日、大学へ行ったら、玉子というあだ名のポスドクが転落死していた。
妙な符号に不気味なものを感じた亜理。
夢の世界では自分が容疑者になっているのを知り、同じ夢を見る同級生の井森と犯人探しを始めた。

 アリスの世界の、話を混乱させる言い回しが多用されつつ、だんだん死人が増えていく。
ほとんど進展もしないうちに次々と事件は起こるが、結局はただの思い違いで決着がついた。
夢の世界である不思議の国での出来事と現実がリンクしている様子は面白いが、もったいぶったあげくの結末がこれかと思うとガッカリする。
伏線を回収し、推理してつじつまを合わせる楽しみが感じられない。

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アリス殺し (創元クライム・クラブ) [ 小林泰三 ]
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小説 日本博物館事始め


 御一新に伴い、全国の寺院や城が壊され、美術品も海外に流出していく。
そんな日本をさみしく思う一人の男が、留学中に観た大英博物館のようなミュージアムを作りたいと願い、叶えた町田久成の物語。

 小説というよりエッセイのような雰囲気の一人語り。
強い願いをただ持ち続け、様々なことをあきらめ、譲歩しながらも夢をかなえた久成の心情が、長年持ち続けた情熱を感じさせない静かさで描かれている。そのため、時々退屈に感じる。
まだ日本にはなかった博物館という概念を形にした久成をの人となりには興味がわいた。
そのあたりはもう少し描いてほしかったと思う。

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早朝始発の殺風景


 始発の電車で出会ったクラスメイト。特に親しいわけではない。
女子高生3人が、ファミレスでかわすいつもの意味のないおしゃべり中、意見が対立する。
遊園地の観覧車でなぜか男二人になってしまった。

 そんな、ちょっと気まずい密室での出来事。
『体育館の殺人』、『水族館の殺人』、『図書館の殺人』などの作者。
普通の日々の中で、ちょっと観察するとわかるけど、なんとなくどうでもよくて見過ごしている謎を拾い上げる。
短編集として、結末は「まだもう少し気になる」程度で終わらせてあるため、どれももうちょっと読みたいと思わせる。

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早朝始発の殺風景 [ 青崎 有吾 ]
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稽古長屋 音わざ吹き寄せ


 足を悪くして芝居をやめざるを得なかった兄と、唄と常磐津の稽古屋をしている兄妹。
やってくるお弟子さんに稽古をつけながら、二人は穏やかに暮らしていた。

 ご近所さんや芝居仲間、手伝いに来てくれるようになったお光のことなど、日常の細々を丁寧に語る。
兄の足が悪くなった経緯が忌事のように隠されているが、それほど嫌味でもなく、やがて知れる事として大事にされているようで心温かい。
どんな傷もやがて気持ちの区切りがつく時が来るといわれているよう。

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稽古長屋 音わざ吹き寄せ [ 奥山 景布子 ]
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鶏小説集


 鶏肉をめぐるいろんな小話。
似てるけど、好きなトリの部位が違う少年たち。妙に気が合って、年に一度だけ家に遊びに来ていたのに、ある時急に合わなくなった。
そしてその親たちのぼやき。
よく通っていたコンビニの事情、など。

 「肉小説集」とは違い、なんだか不幸だったり不憫だったりする読後感ばかりで気が滅入る。
移り変わる主人公同士のつながりもさして興味をひかず、ただの一人語りで終わる。
トリ料理も魅力的に書かれていないので、最後まで気が乗らないままだった。

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肉小説集 (角川文庫) [ 坂木 司 ]
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