2009年09月08日 読了
映画のノベライズ。
富士が噴火し、そこに封じられていた妖怪たちが一斉に溢れ出た。それを狩り、もとの平安な地上へと戻すべく、一人の少女が立ち上がる。
この世でただ一つ、妖怪を切れる刀を持ち、河童の子を弟として育てた少女、「さくや」。
映画は知らなかった。なんとなく「木花開耶姫命」という神の話を読みたいと思って手に取った本。
普通に妖怪退治の話だけど、サクサク読め、豪快な娘と手の内を明かさない頼もしい助っ人たちという王道なストーリーはそれなりに楽しめた。
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読書と編み物の記録
2009年09月08日 読了
映画のノベライズ。
富士が噴火し、そこに封じられていた妖怪たちが一斉に溢れ出た。それを狩り、もとの平安な地上へと戻すべく、一人の少女が立ち上がる。
この世でただ一つ、妖怪を切れる刀を持ち、河童の子を弟として育てた少女、「さくや」。
映画は知らなかった。なんとなく「木花開耶姫命」という神の話を読みたいと思って手に取った本。
普通に妖怪退治の話だけど、サクサク読め、豪快な娘と手の内を明かさない頼もしい助っ人たちという王道なストーリーはそれなりに楽しめた。
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2009年09月07日 読了
心理学者である立原健人が、自らの内に巣食う「モンスター」の望むままに殺人を犯す。完全犯罪を目指す傍ら、自らの存在を示す印を残し。。。
ネットで獲物を見つけたり、心理学用語を目印としたり、多重人格や虐待といった興味をそそる題材をうまく利用しているが、最初からどうも不快感を引きずる。
「ユグノーの呪い」と同じく読みやすかったが、こちらは後味が悪かった。
ノアをもっと使ったほうが面白くなったんじゃないかな。
「言い間違え」についての心理学的解釈も、意味深に使われている割には説明もなかったのがものたりない。
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2009年09月06日 読了
東京の片隅にある便利屋。そこの主である多田のところに迷い込んだ高校の頃の同級生・行天。
一生懸命今を幸せだと思いこませようとしているような主人公と、本当に迷い猫のような行天の生活。
カーテンごしに家族と話をしているような感覚で、どこか現実でないような雰囲気をもったお話。
楽に読める。思いのほか爽やかな読後感が残り、疲れたなぁと思った夜に手にとったらよく眠れそうだと思った。
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2009年09月05日 読了
ケルトの民族に受け継がれてきた民話・伝説を題材とし、妖精や妖魔、人の魂を美しく書きあげてある。
伝説の祓い楽人・オシアンと、その連れのブラン。二人が旅の先々で救う魂の物語。
声を失った楽人であるオシアンの穏やかさに包まれた、幻想的な世界が素敵。
まるで、美しい音楽を本当に聞いた後のような余韻が残り、静かで満ち足りた気分で終われる。
途中から登場する同業者のような商売敵のような二人連れも、彼らだけで十分物語が出来そうなほど魅力的。
続編が出そうな雰囲気なので、とても楽しみ。
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2009年09月03日 読了
元KGBの殺し屋・ヴィクトルが4年ぶりに来日した。連絡を受けた倉島警部補は、その目的を調べ始めた。テロか、犯罪か。
足取りを追うためにロシアに渡った倉島たちの前で起こる銃撃戦。
「曙光の街」の続編といえるこの作品。日常を離れ、公安やテロリストたちの世界に浸る。白夜を見た事はないけれど、その舞台はさらなる幻想へと導いてくれる。
テロリストなのに、ヴィクトルは誰からも憎まれることがない。
その不思議さもおもしろい。
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2009年09月01日 読了
革命期フランス、作者のもっとも得意とする分野。
宮廷内、微笑みと耳触りの良い会話に隠された思惑を読み取れない者は利用されていく。
市井であってもそれは同じ。薪をふんだんに使える生活がしたい、ドレスをまとい、柔らかなベットで眠る生活を。。。
そして今に生まれついた運命を変えたいと望む。
短編であるため、各物語はあっというまにすぎてゆく。でも毎日はたぶんそんなもので。それでもフランス王妃マリー・アントワネットが脇役で登場する物語は、印象深い。
信念を見つけ出すために費やすエネルギーは、静かに疼く種火のようなものかもしれない。潜む力が香り立つような目をした男の魅力が描かれていて素敵だった。
でもやっぱり長編が読みたい。
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2009年08月28日 読了
ホストだった父親のようにはなりたくないと思ってホストになった男に、ホストに心を壊された母をもつ男がホストになって戦いを挑む。
私が女だからか、なんだか違和感と嫌悪感のまざった内容だったけれど、途中で投げ出すほどではなかった。結末はそれとなく窺えたし、流れも予想の範囲を超えなかったけれど、文章は読みやすかったし、集中して読めた。
ただ、「この人はこんなもんではない」という意見が多かったので、ほかの作品も読んでみたいと思う。
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2009年08月27日 読了
第八回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作
時は2018年。精神病治療はバーチャル記憶療法士が患者の記憶に潜入し、トラウマとなっている部分の記憶を変える。
自分をバーチャル化し、人の記憶の中に入り込み、戦い、説得し、トラウマのせいで記憶の一部をせき止めたり書き換えたりしている検閲官に勝つ。そして患者の心のトラウマを取り除いていく。
バーチャルに入ったり、そこで気づついたらリアルでも傷を得、取り残されれば植物状態。。。
なんだか設定が「マトリックス」に似ている。
でも文句なくおもしろかった。小難しい設定があるのかと身構えたがそんなことはなく、ヨーロッパの歴史を絡ませていて引き込む力も大きいうえに、アリスの世界のような謎解きでかわいくもある。
一気に読める作品だった。
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2009年08月25日 読了
宗教団体教祖を狙った奇妙な連続誘拐事件、驚くべき頭脳と体力を持つが集団行動には向いてないと評価された自衛隊員。
そしてイスラエル大使館の肩書を持つ一人の男。
あらすじを見ても分かりにくいだけでいまいち興味をそそらない。
でも。
軽快で一気に読める。相変わらずこの人の話はぶっとんでいる。
深いテーマだったり人が死んだり、いちいち暗い事が起こるのにざっくりとかわして豪快にまとめるので、読み終わりは充実感と達成感が残る。
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2009年08月24日 読了
21歳の大学生・聖が、元大物国会議員・大堂剛の事務所に事務員として勤めている。
引退したとはいえ、その事務所には大勢の弟子たちから様々な「問題」がもちこまれてくる。
わかってみれば「なぁんだ」と思うような小さな事件だけど、ほっておけばややこしい問題にもなりかねないようなことを、聖は面倒くさがりつつも解決していく。
種明かしは推測もさせないで最後までとっておくのはこの作者のいつもの手。
主人公は聖なのに、大堂剛でいる気分にさせられた。爽快。
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