花舞う里


 母の故郷である愛知県の澄川にやってきた潤は、そこで都会とは違う風習に戸惑う。
中でも一番は、花祭りという伝統神楽。
授業でも習うほど、地域の文化として当たり前にあるその祭りが、潤には苦しかった。
 
 『マカン・マラン』の作者だが、郷土史や文化に興味がわかず、いまいち入り込めない。
田舎ならではの風習や人間関係も、特別なことはなにもなく、普通の毎日が描かれている。
それぞれの心の中を丁寧に描いていたマカン・マランとは違い、潤から見た視点でのみの人物像なので、親近感がわかず、祭りの高揚感さえどこか遠く感じてしまう。

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怪談飯屋古狸


 奉公先を自ら「追い出されてきた」虎太。
偶然見かけた看板娘・お悌に惹かれて入った飯屋「古狸」で、虎太は不思議な取引をする。
それは、怪談話をすれば一食タダ。
お悌と飯に釣られ、虎太は幽霊が出るという家に潜り込む羽目になる。

 これまでのシリーズと同じようなテイスト。
ボケ方もそっくりなので、新しくする意味があるのかわからない。
今までの、動物や子供といったかわいらしく雰囲気を和らげるものが減った分、面白みも減った感じ。

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横濱エトランゼ


 高校3年生の千紗は、幼馴染で初恋の相手、善正のいる横浜のタウン情報誌の編集部でバイトを始めた。
そこでの雑用の仕事とともに、小さなイラストの仕事も請け負う。
横浜の街を知るいい機会にもなり、また出会う人達も印象的な人ばかりだった。

 書店員のシリーズとほぼ同じ印象。
日常で出会うちょっとした不思議を追い、ほんわかとした真実に巡り合う。
横浜の地の歴史は興味深いが、ストーリとしては少しも印象に残らない。

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ジョーカー・ゲーム


2011年04月20日 読了
 スパイ養成機関では、本名も素性も明かされることのない同期たちと、ひたすら過酷な訓練に明け暮れる。

 本当にありそうな気がしてくる。
自分は何者を相手にし、何を成していかねばならないのか、悪い夢を見そうなミッションが、地下室に幽閉されているような気にさせる。

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童の神


2019年10月10日 読了
 平安の頃、本朝始まって以来の凶事と安倍晴明が占った日に生まれた子がいた。
髪は赤く、彫りの深い顔立ちの桜暁丸は、自分たち以外をさげすむ京人達を憎んでいた。

 第10回 角川春樹小説賞受賞作
様々な渾名で蔑まれていた京以外に住む者たちと共に、どんな生まれであれ皆同じ人だと言える世を作ろうとあがいた、桜暁丸の戦いの半生。
桜暁丸が誰であるかは後半で解るし、信念を持った戦いの描写は緊迫感がある。
ただ、つぶやきや心中を語る描写がややうざい。
この先を想像させる終わりも、これまでの力強さに比べると肩透かしを食らったように弱い。

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童の神 [ 今村翔吾 ]
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キキ・ホリック


2019年09月24日 読了
 とある私立の女子高には、もう誰も管理する人のいない一角がある。
そこは様々な植物が植えられていたが、かつてはたった一人の生徒によって管理されていた。

 女子高という、ある意味幻想的な世界の、少女たちと植物の語らい。
悲しい出来事が多く起こるのに、少女と植物にのみ重点をおいているせいで、どこまでも現実味がない世界。
そして過去の出来事という思い出にまで入り込み、ますます夢の中のよう。
男と大人は遺物だというはっきりとした意志が見える。

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キキ・ホリック [ 森 晶麿 ]
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呪護


2019年09月15日 読了
 都内の私立高校で、傷害事件発生の連絡が入る。教師が教室で女子生徒に淫らな行為をしていたところを、見つけた男子生徒に刺されたということだった。
警視庁少年事件課の富野は現場へ向かい、その後病院で被疑者と被害者だと思われる生徒に面会した。
ところが、被害者と思われていた女子生徒が、被害を否定した。

 シリーズの何かを読んだ覚えがあるが、宗教や人知を超えた力、呪詛や気といったカテゴリにはうさん臭さが付きまとう。
思い切り異世界の話だというなら入り込めるが、現代の話となると常識が先に立つのか受け入れがたい。

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呪護 [ 今野 敏 ]
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てんげんつう


2019年08月31日 読了
 若だんなの許嫁、於りんの一家が、店を閉めてみんないなくなっている。
そんな知らせを受け、若だんなは寝床から動けない自分を情けなく思いつつ、獏久の力を借りて悪夢へもぐりこむ。

 若だんなのところにやって来る妖達は、人とは理が違うために、いろんな無理を言ってくる。それに巻き込まれるのは相変わらずだが、いつもは寝付いていても考えが冴える若だんななのに、今回はほとんど知恵が出てこなかった気がする。

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てんげんつう [ 畠中 恵 ]
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ていん島の記


2019年08月24日 読了
 聖山アマンディをいだき、遥か上空、雲の海に浮かぶ島“ていん”。人々は空・川・山の民として互いに交わらず、領分を守って暮らしていたが、やがて悪天候や天災で飢え、争いを始めるようになった。

 わかりにくいし、想像しにくいため、世界観に入るのにだいぶんかかる。
そしてやっとわかってきた頃に佳境を迎え、最後はなんとか収まる。
結末でやっと何の話だったか分かるのでスッキリはするけど、それまでには何度も放り出したくなるのを抑えて読み進む必要がある。

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ていん島の記 [ 仁木 英之 ]
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アルゴリズム・キル


2019年07月13日 読了
 指揮命令違反を繰り返した末、所轄署の警務課に異動になったクロハ。
視線と監視を感じ、居心地の悪い思いをしていたところへ、傷だらけの少女が保護される場面に出くわす。そこから少年の不審死が続き、クロハは独自に調査を始める。

 相変わらず全体を通して暗い。そして必要以上にクロハの自責が続くため、鬱々とする。
捜査本部ができる大きな事件と、その裏で扱いかねている曖昧過ぎる事件の間でクロハが動くため、一人で活躍しているように見えるが、特別扱いされているお嬢様的なところが都合よく解決につながっているためか。
暗い雰囲気で覚えてはいるが、これまでのストーリーは少しも記憶に残っていなかった。

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アルゴリズム・キル (光文社文庫) [ 結城充考 ]
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