病弱探偵 謎は彼女の特効薬


2019年07月04日 読了
 高校生の貫地谷マイは年中体調不良で学校はほとんど行けてない。
そんなマイは病気の間の辛さを少しでも紛らわすために、推理小説で培った知識を使うべく、謎を求めていた。そしてマイの幼馴染みの同級生、山名井ゲンキが学校で起こった謎をマイ伝え、二人で謎解きをする。

 病弱で謎解きとくれは「しゃばけ」が思い浮かぶが、こちらは現代。
ネタも恋愛から運動会や図書館など、学校らしいものばかり。
だけどマイの気質がどうにも腹立たしくて、解決してもすんなり喜べない。
モヤモヤした違和感か嫌悪感のせいで、いまいち解決した気分になれないまま残っている。

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王国は誰のもの


2019年06月29日 読了
 家でも学校でも学校でも居場所を見つけられずにいる女子高校生の莉世は、学校帰りに奇妙に大きな黒い帽子をかぶった少年・冴島丈と出会う。
 彼の一言で莉世は助手となり、山の上の「王国」へ向かう。

 山の上には現代の技術を否定した、自称・王様が住む城があり、そこでは中世ヨーロッパを忠実になぞった生活があったという設定。
現実から異世界へは、他の小説などと違って、ただ山を登るだけというのは面白かった。しかしそのせいか、どうも徹底せず、入り込めない。現実の続きだと思うから、狼男や吸血鬼などが白々しく感じてしまった。

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毒よりもなお


2019年05月15日 読了
 都内でカウンセラーとして働く美谷千尋。図書館の一角を借りて、ボランティアでカウンセリングをしていた。
そこへ、自殺志願の女子高生がやって来る。
 その相談が、かつて千尋がカウンセラーを目指した頃に出会った、ヒロアキを思い出させる。

 今までと違ったものを、という作者の言葉通り、雰囲気はだいぶん違う。
これからどうなるのかとどんどん読み進められるが、最後になって混乱する。
それがすんなりと納得できずに終わるため、消化不良でモヤモヤしたままだ。
読者に判断を任せるというより、どうにでもなれといった雰囲気を感じた。
ここまで人物をしっかり固定してきたのに、「夢オチ」と似た感じで唐突に終わる。

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立川忍びより 忍ビジネスはじめました!


2019年05月10日 読了
 忍者一家・藤林家に居候し、いくつも仕掛けられる罠もよけられるようになった頃、元カノの悩みにいくらかの解決を示す手伝いをしたことをきっかけに、困っている人を助ける何でも屋「忍ビジネス(しのびじねす)」を始めることにした。
 そしてかつて自分が在籍していたブラック企業の同僚を助けるに至り、多聞はまた自信をつける。

 仙人の次は忍者。でもこちらはなんだか胡散臭い。
軽い語り口だけど、今風の設定に忍者のあり得ない技が絡むと違和感が大きい。
悩みや困りごと解決ならもう少しリアルでしっかり土台がわかった方が説得力がありそうだけど、この軽い雰囲気で何でもアリにするのも想像が膨らむのか。

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発現


2019年05月09日 読了
 昭和と平成、二つの時代で起こる、気も狂わんばかりの幻覚。
母が、その恐ろしい幻覚に悩み自殺。兄も、憔悴しきっている頃、主人公の私にも見え始める。ただ一人見えない父が、どうにかして原因を探ろうと動き始める。

 死んでいることがはっきりとわかる少女と、襲い来るヒガンバナという、いかにもホラーな幻覚。
父の理解ある言動で少しづつ過去を手繰る3人。
ホラーだけど気持ち悪いわけではないので次が気になる。
でも昭和と平成ヲ行ったり来たりしているために、人物がつかみにくい。
結末も放り出したようにブツリと終わり、なぜ登場人物はそこで納得できるのかがわからない。もう少し丁寧な描写がほしかった。

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有楽斎の戦


2019年03月29日 読了
 織田信長の弟でありながら戦が嫌いで、できれば茶の道で静かに生きたいと願う織田源五郎。
彼はどうやって数々の戦を生き抜いたのか。

 たいした手柄も上げられず、戦とは関係ないところで怪我をする源五郎。
そんな彼が戦に駆り出されて毎回弱気になりながらも、すんでのところで助けられるところが描かれる。余生は静かに茶をたてながら過ごし、息子からの提案に嬉々とする有楽斎の様子が微笑ましい。
でも戦ばかりの話は私には少しつまらなかった。

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under the bridge


2019年03月29日 読了
 マンハッタンで立てこもり事件が発生した。
ニューヨーク緊急出動部隊のブラウン率いる班が突入し、無事人質は保護され、犯人は射殺された。
ところが、NYに潜伏中の探偵・濱崎は、人質が旧知のヤクザの情婦だったことを知り、これには裏があると思い探ることにする。

 ハードボイルド小説『over the edge』の続篇。
前作の話は覚えていないけど、登場人物などの雰囲気は残っていた。
ブラウンと濱崎の、気に食わないけど信用してるというハードボイルド定番のやりとりが、重くなり過ぎずテンポよく進んでいくので読みやすい。

オネスティ


2019年02月20日 読了
 風が吹き抜ける丘の上に立つ双子のような2件の家。
そこに住んでいた二つの家族には、同い年の子供がいた。
彼と彼女は、二つの家の間に立つケヤキの木の下で、生涯の約束をした。

 互いに大好きだけど、恋愛はしない、結婚も、触ることもしないと言った約束を貫く二人。
純愛のように思わせるが、二人だけの世界を作り、周りを振り回している。
特にエピローグはおかしい。あれは単に続きで、エピローグというならもっと時間を区切って視点を変えてほしい。
途中で飽きたかのよう。

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お師匠さま、整いました!


2019年02月01日 読了
 年の離れた夫を亡くし、学者だった夫の代わりに寺子屋で師匠をしているお桃。
学問も算術も、それほど好きではないお桃だが、子供に教える程度なら大丈夫であった。しかしそこへ、酒匂川の氾濫で両親を亡くした春が寺子屋を訪ねてきた。
 自分にはない発想をする春と、算術が好きで才もある生意気な鈴と接しているうちにお桃は気持ちが乱れていく。

 第11回小説現代長編新人賞受賞作。
しかし、なんだかお桃のキャラクターが一貫しない気がしてずっと違和感があった。
主人公の気質がはっきりしないのは、混乱もするし感情移入もできない。
算術の面白さは伝わるが、桃の人となりは伝わってこなかった。
それ以外の、夫や平助、春や鈴はとてもスッキリ伝わってくるのに、なぜだろう。

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回想のぬいぐるみ警部


2018年12月11日 読了
 ふわふわでもこもこなぬいぐるみを愛する美貌の刑事・音無美紀。
その事件にぬいぐるみが関わっていたら居ても立っても居られない。
そんな趣味を隠せていると思っているのは本人だけで、周りは薄々気づいていく。
 そしてぬいぐるみを眺めながらついでに事件も解決していく。

 個性的ではある。そして事件もそれなりに込み入っていて納得できる。
でもなぜか薄っぺらく、次の章へ行けば忘れてしまう。
事件やぬいぐるみや音無よりも、ほかの要素が多すぎるのかもしれない。

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回想のぬいぐるみ警部 [ 西澤保彦 ]
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