珈琲屋の人々


2010年12月26日 読了
かつて地上げ屋を殺してしまったという過去を持つ珈琲屋の店主が、ひっそりと穏やかに淹れる「熱々のコーヒー」。

 その店に集まってくる商店街の人々が、コーヒーを飲みながら語る。

 暗くて重いけど、苦しくない。
熱々で特別な一杯のコーヒーがほしくなり、何もかもすべて打ち明けてしまいたくなる。

 コーヒーと、最後に出てきた映画とが、個人的な思い出と重なってしばらくほっこりできたので、特別に五つ★。

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切れない糸


2010年11月23日 読了
アライクリーニング店の息子・和也。彼の元にはなぜか、困った動物が集まる。犬や猫、ハトやスズメはもう当たり前、時にはイグアナやフェレットまで。。。

急に父が亡くなり、店を手伝うようになった彼の手に集まってくる衣類たちも、まるで意思があるように困った人たちの物ばかり。

『町の生物委員』というあだ名までついた和也だったけれど、さすがに人間の問題は大きすぎた。それを助けるのが親友の沢田。

ひきこもり探偵のシリーズと似た、ほっこりと泣ける話。いいセリフもシーンもたくさんあるから、ゆっくり読みたいのに止まらない。

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七つの海を照らす星


2010年11月21日 読了
 第18回鮎川哲也賞受賞作。
児童養護施設「七海学園」で働く主人公・北沢春菜が、日常に起こる不思議を解き明かすミステリ。

 実際は春菜ではなくて児童相談所の海王が解いていくのだが、謎はもちろん学園の児童がらみ。子供たちの心が暖かい。
 言葉では伝えられなくても、大人と同じように感じている彼らは、どんな行動をおこすのか。

 途中腑に落ちない話もあったけど、最後は妖精のような友人が惹き立って終わる。
 好き嫌いが分かれるかもしれない。

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ルーンの子供たち DEMONIC 2


2010年07月05日 読了
 マキシミンの表紙が奇麗で目を引いた。
ジョシュアたち3人は旅に出る。空を飛ぶ船で。
新しくティチエルの父とランジェも少し登場し、ますます期待感が膨らむ。

 ジョシュアの、感情の起伏が目の色に現れる光景が鮮やかに浮かぶ。役に立つけど迷惑なウィザード、暗殺者、そして先祖たちまでもを相手にして、ひるまない。
 本当に舞台に立っているジョシュアを見ているようだった。

 そしてマキシミンも、もっと好きになった。

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ワーキング・ホリデー


2010年03月26日 読了
 ホストの大和は、顔はいいのにヘルプにくらいしかつけないほど口が悪くて喧嘩っ早い。
 そんな大和の仕事場に、小学生が尋ねてきた。ホストクラブに・・・

 忘れられない過去の汚点。たったひとつの思い出。
小学生の進が夏休みの間「家出」してきたためにホストをクビになって、宅配便の仕事を始めた大和と進の話。

 元ヤンキーで、家出の末拾われたところがホストで、愚痴も悪口もたっぷりで。なのに明るい。
 子供をちゃんとしかれる人はすごい。ただ怒るんじゃなくて、納得させて本気で「ごめんなさい」と言わせる。
 そして女ごころにも気づいたら、そりゃぁもう。

 どうにでもして

 ライトノベルのようにするっと読めるけどちゃんと濃い。
この人の本は出すたびに進化している。どんどんおもしろくなる。
表紙とタイトルがあまりにも陳腐で油断した。

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三人目の幽霊


2010年03月24日 読了
 やっと入った憧れの出版会社で、配属されたのは「季刊落語」。
そのうえチームは上司と二人きり。

 しかしその上司の洞察力は尊敬に値する。少しの情報とフットワークの軽さでほとんどの事は見抜いてしまう。 

 落語の話はよくわからないと思っていたけれど、新人教育のついでにちゃんと軽い解説もしてくれて、少しも「置き去り」にされている気がしない。
 
 表紙の雰囲気そのままの世界。

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夜の光


2010年03月21日 読了
 月に1度だけの観測日にのみ活動している天文部の4人は、いろんんなものと戦っている。

 それぞれの季節で、それぞれが戦う物語が、気持ちのいい距離感で綴られる。

 月に1度しか会わない仲間、沈黙が流れ、一人になって星を眺める。心地よい距離。

 坂本司の本の中で一番心に残る作品だった。

 星のようにあってほしい人が、私にも確かにいる。

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コーリング闇からの声


2010年02月04日 読了
 特殊清掃を仕事とする二人の男が、仕事場で浴槽の水に溶けた女を片づけた。彼女はなぜ死んだのか。

 恐ろしい出だしですぐさま取り込まれた。だけど下品じゃなく不快感もない。
 実際の医療事故や薬害についても絡めた話でよりリアルになっている。

 「パーフェクトプラン」よりも凝縮されたパワーがあった。

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薄妃の恋―僕僕先生


2010年01月27日 読了
 この世界は二人で周るには十分広い。

 5年ぶりに帰ってきた僕僕先生は、王弁とまた旅に出る。
僕僕の友人や不思議な妖が登場し、前回よりお節介になった僕僕の頼もしい面が見れた。

 からかわれて赤くなる王弁と、飄々とした僕僕。二人の位置は全く変わっていないことに安心する。
 そして、時々甘える僕僕のかわいさに身もだえする王弁の気持ちがとてもよくわかる。

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パーフェクト・プラン


2010年01月23日 読了
 誰も殺さない。誰も損をしない。せしめる金は5億円。

 代理母で生計を立てている良江は、かつて出産した子供が母親に虐待されていることを知り、発作的に連れ出してしまう。それを知った元・愛人が友人たちとともにある計画を打ち立てた。

 第2回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。

 これは犯罪?人助け?身代金のない誘拐の結果、子供も、世話をする老人も、生き生きとした目を取り戻し、巻き込む人に絆をもたらす。
 選評にもある通り、予想のつかない展開に手が止められない。

 ミステリーなのに穏やかな気分で引き込まれ、最後にはまた新しいミステリーを作り出そうとして終わる。しばらく手に持ったまま呆然としていた。

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