クローバー・レイン


2012年07月07日 読了
 大手の出版社に勤める彰彦は、もうほとんど過去の作家となった人の新作を、偶然読んだ。
それから、NOとしか言わない編集長や会社を説き伏せにかかる。
 本を作ることの大変さと、本に対する愛情を描いた本。

 以前の、書店員の話はイマイチだったが、これは面白かった。
この人が書くものはやっぱり、本の話である。

 落ち目の作家が書いた小説は、乾いたシロツメクサの上に降る、雨。
誰かに届き、心を潤す雨となる。まさにそんな本となった。
 雨の季節に読むには最適だった。

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聴き屋の芸術学部祭


2012年05月28日 読了
 相談しやすい体質なのか、いつの間にか人の話を聞くことになりやすい柏木は、「聴き屋」として学内で少しだけ名が知れていた。

 人の話を聞くうちに、推理好きの友人と共にあちこちに巻き込まれ、頼られる。
 人が何人も殺されるほどの事件が起こるのに、ゆるくてさらりと笑わせる。
 コミカルな登場人物のおかげでちっとも怖くないうえに、あっという間に読めるので気持ちがいい。

神去なあなあ日常


2012年02月21日 読了
 高校を出たら、適当にフリーターで食っていこうと思っていた主人公・平野勇気。
 担任と親に勝手に放り込まれた山の中で、なぜか林業見習いをする羽目になる。

 理由なんてわからないけど不思議な風習がたくさんある村で、勇気は少しづつ山の仕事を始める。
 いまどきの若者らしく、「ありえねー」「おかしいだろ!」「殺す気かっ」なんていう突っ込みがあちこちにまぶされ、厳しい仕事の中の楽しさをちゃんと伝えている。
 登場人物の濃さもすごいけど、山の雄大さと言うよりはスピード感がものすごく、一気に読める。

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上陸


2012年02月19日 読了
 ようこそ、密航天国へ。
社会の底辺で、あきれるほど金がない3人が暮らす。
元サラリーマン、すでに前科者の若者、不法滞在の外国人。
それぞれワケありの3人が、同じような立場の者達と出会い、少しの間同じ時を過ごす。

 タイトルの意味は最後にわかる。
息をひそめるように生きていても、いずれ別れることになっても、今は家族のようなこの暮らしを楽しんでいる。
 切ない回想録だけど、誰も絶望してはいない。

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怪談


2012年01月25日 読了
 「雪おんな」、「ろくろ首」、誰でも知ってる怪談を思い浮かべながら読む。
 一つ一つは短い話だけど、そっと後ろを振り向きたくなる、うすら寒い話たち。
 ラフカディオ・ハーンの本をちゃんと読んだことがないので、一度探してみようと思う。

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熱氷


2012年01月23日 読了
 最愛の姉が死んだと連絡が入り、カナダから日本へと帰国した石沢恒星。
姉が残した甥とやっとうちとけてきた頃、甥が誘拐される。

 複雑な人間関係と登場人物の多さで多少混乱するが、忘れる間もなく読み進められるために気にならない。
 悪人だと思った佐々木も、違う一面から見ればただ哀れなだけだった。
 
 氷を撃つ男の生き様が、とてもかっこよかった。

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断鎖”Escape”


2011年12月05日 読了
 Revolutionシリーズの始まり。
―革命を起こさないか、この国に。
そう囁く声に抵抗することはできない。

 道を外れてしまったまま戻ることもできず、闇に落ちてゆく人生のなかで、いったい誰を信じるか。
 
 主人公の成長と共に見えてくる他の登場人物の過去と思いが、ものすごい勢いで迫ってきて苦しくなる。
 鉱物シリーズの登場人物にも出会えた。
でも彼は、鉱物シリーズでの方が魅力的。

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いまなんつった?


2011年06月30日 読了
 エッセイは久しぶり。
タイトルに惹かれて手に取った。

 クドカンがふと気になったセリフ達を集めた本。
芝居やドラマの中のセリフもあるし、子供の発したセリフもある。

 ポジティブなセリフばかりを集めてあるので、読後感はとても良い。

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ルパンの消息


2011年02月20日 読了
 15年前に自殺として処理された女性教師の転落死は、殺しだ。
タレこみにより、残り1日の時効を前に捜査本部がたつ。
 
 容疑者は当時教え子だった男子生徒3人。

 現在の取り調べと、15年前の3人の行動がパラレルで進行し、目が離せなくなる。
 どれほど昔の事であっても、辛いことはそう簡単には薄れない。

 殺人の時効がなくなったこれからは、こんな小説も生まれてこなくなってしまうのか。

告白


2011年02月08日 読了
 愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。

 映画のコマーシャルで流れた印象的なセリフ。
学校のHRで言うには似つかわしくないセリフが独白形式で語られる。
 さらに事件に関係する人たちまでも。

 とにかく「すごい」と思った。
うすら寒い空気がぬぐえないまま次々と衝撃を受け、少々手荒だけどアリかもしれないと思ってしまうほど狂わされる。

  同じ事件を描いているはずなのに、立場が移り変わるごとに少しづつ話が進んでいくので飽きも来ない。

 いろんな立場のいい分をあれほど描けるなんて、脱帽するよりない。

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