播磨国妖綺譚


 室町時代、播磨国。
律秀と呂秀の兄弟は、それぞれ違った職からの商売替えを経て、薬草を育て処方しながら庶民を相手に病を診る法師陰陽師だった。
ある晩、呂秀のもとに恐ろしい異形の鬼が現れ、かつて蘆屋道満に仕えた式神で、今は仕える主を探しており、呂秀が最も主にふさわしいから使役しろとやってきた。
その恐ろしい姿から御しきれるか不安になった呂秀は、小さくて儚いものの名を付けた。
鬼は、時に呂秀を軽くあしらいながらも、「鬼は人ができぬことをする、人は鬼ができぬことをする。ただ、それだけだ」と言い、呂秀を助けてくれるようになる。

 播磨の国、姫路城と、馴染みのある土地の名で、その景色も想像しやすかった。
恐ろしい姿の鬼ではあるが式神で、時に山の神ともやり取りをする強気なところがあるが、小さいものには優しかったりと妙に人間臭い。
妖が見える弟と、陰陽師の力は強いが全く見えない兄という二人の違い、都からの使者も含めて個性がはっきりしていて面白かった。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。