わが殿 下


 藩の負債をなくすため、幕府から大きな借金をして銅脈を掘り当てたり、食う分だけの金しか使わない政策で3年をすごしたり、大野藩は借金という敵と戦うために様々なことをしてきた。
やがて完済のめどが立ち、一安心できるかと思いきや、夢を語る若者はお構いなしに使いまくる。
しかし、そんな者たちへ頼もしいやり繰りを続けていた七郎右衛門に、見方する者だけではなかった。

 藩の金巡りを良くしようと店を出して商人とやりあってみたり、荷を運ぶ船を借金して買ってみたりと、相変わらず大きなことを大きな苦労をしながらやる七郎右衛門。
しかし、そんな話もずっと続くと飽きてくる。
そして急に藩の中からの不満を持った奴らから狙われ始めるのは、今までなかったことがおかしなくらい。
面白いキャラクターはたくさんいたけど、その割に単調だった。

わが殿 上


 幕末、ほとんどの藩がそうであるように、大野藩も財政難に喘いでいた。
若き藩主・土井利忠は、誰もが良い案を出せずにいる中で、一人の若者に白羽の矢を立てた。
若干八十石の内山家の長男である七郎右衛門良休であった。
七郎右衛門は、誰もが知恵を絞っても出せなかった案で金を作り出し、若殿のいくつもの指令をこなす。

 珍しく妖怪が出てこない話。
そして主人公の性格も、とぼけた様子は割に少ない。
しかし、事が起こって途方に暮れる場面からいきなり数年が過ぎていたりと、場面の切り替わりが急すぎることも多くて気持ちの切り替えがしにくい。
それでも、次々出てくる金勘定のやりくりをなんとかこなす七郎右衛門のやり方は思いのほか堅実で、奇をてらったり偶然に頼ったりしていない。
そのため胸のすくようなどんでん返しはないが、藩の力をじっくりと積み上げていく様子が頼もしく映る。

くさり模様の帽子


使用糸:毛糸ZAKKAストアーズ ごきげんWool (07),ALPS 純毛中細[ウォッシャブル](1)
編み図:トリッキー・ニッティング より
    くさり模様の帽子 100 g  6号針

二重拘束のアリア: 賞金稼ぎスリーサム!


 国際指名手配のテロリストを追い詰めたことで多額の報奨金を手に入れた3人は、日本初の刑事事件専門調査会社「チーム・トラッカー」を立ち上げた。
そして初日に訪れた依頼人は、ある事件の遺族だった。
夫婦で殺しあったというその事件は、心中とは違い、お互い殺意を持っていたと思われる。
聞き込みを始めた3人は、異様なその雰囲気に飲み込まれそうになる。

 仲の良い夫婦だったはずの二人が、お互いが死ぬまで傷つけあったという事実が、不気味さを広げる。
調査の前半はまさに骨折り損のようで疲労感も漂うが、そのうち全く思いもよらない事実が浮かび上がり、うすら寒い気持ち悪さでいっぱいになり、それでもどうにかしたくて目が離せなくなる。
そんな流れが、読みやすいテンポでさらさらと続く。
犯罪者をただただ捕まえたり死なせて解決するより現実的な終わりなのも頼もしさを感じさせ、3人の濃いすぎるキャラも前作より違和感なく受け入れられた。