小さき者たち


 屍体が悪霊にならぬよう見守る“家守”として、父と共に暮らしてきたモチカ。
父の後を継ぐと思っていた自分の運命が、ある日訪ねてきた祖母によって一変した。
突然連れてこられた大きな町で、少年たちが15歳になると必ず受けることになる神からの“試しの儀”に臨むモチカ。
そこでは、献上人として神に命を捧げる者を選んでいた。

 一つの国の繁栄と衰退。
高い理想で作られた国は、世代を重ねるごとに建前が増えていく。
理不尽な仕来りに疑問を持つものたちの声が亡霊となって襲ってくる不気味さと、従うしかない者たちの窮屈な不満がとぐろを巻いて順番にやってくる。
決まり事を外から見たときに感じる滑稽さが目いっぱい詰め込まれていて、描写も細かいので、状況がくっきりと目に浮かぶ。

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