うさぎ玉ほろほろ


 武士から菓子職人へと転身した「南星屋」の主・治兵衛。
娘と孫、そして最近店に入った職人の雲平で切り盛りする小さな店だが、店主の治兵衛が全国を歩いて集めた珍しい菓子を出すため人気の店だった。
店に顔を出すようになった中間の鹿蔵が、ある日文を託したまま姿を消してしまい、皆で心配する。
鹿蔵が大きな事件に関係しているのではないかと気を揉むが、孫のお君がうっかり買った恨みによることだとわかり怖い思いをしたり、小さな子供が思い詰めて店に直談判にやってきたり、店はいつも人であふれている。

 可愛い客にほっこりしたり、おいしそうな菓子を想像したり、知らない地域の菓子を調べたりと、とても楽しい時間だった。
剣呑な事件に巻き込まれそうになってヒヤリとしたが、「南星屋」のみんなが軽口をたたきながらも次の菓子の話をする場面が好きで、どんなふうになるかと想像してうれしくなる。
甘いもので幸せになる気持ちがあふれていた。

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