伊吹の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を向かえた日、なんの前触れもなく自殺した。
朱里が死ぬ1週間前にこれまで縁のない大衆演劇を見に行っていたのを知った伊吹は、何かの真実が知れればと大衆演劇「鉢木座」へ行き、若座長の慈丹からスカウトを受ける。
鉢木座で女方として活躍を始めた伊吹に、やがて自分の出生の秘密と鉢木座との関係を知る。
双子の片割れを失ったことによる悲痛な気持ちと、親からの非道な扱いで苦しみ続ける伊吹の気持ちが、ひたすら綴られているためにずっと暗い。
親から無視され続けたくせに日舞だけは習わされていたり、なのに女の朱里にはやらせないで勉強だけさせていたりと不可思議なことは多かったのは、過去を捨てきれない親の我儘で、振り回された朱里と伊吹の辛さは想像もできないが、その一環した重苦しい空気は長く続けて読むのはしんどかった。