2010年04月21日 読了
引きこもりの鳥井、誰よりも鳥井を最優先する坂木。
二人に依頼された動物園で起こった事件は、怪我をさせられた猫たちの謎。
3部作の最終話だった。
主要人物のキャラはとても面白いけど、彼らに巻き起こる事件や謎は、「ちゃんと」しすぎていて少ししらじらしく思える所もある。
まさに、正論で武装していた松谷のよう。
痛々しい過去と傷があるからなじめる内容。
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読書と手芸の記録
2010年04月21日 読了
引きこもりの鳥井、誰よりも鳥井を最優先する坂木。
二人に依頼された動物園で起こった事件は、怪我をさせられた猫たちの謎。
3部作の最終話だった。
主要人物のキャラはとても面白いけど、彼らに巻き起こる事件や謎は、「ちゃんと」しすぎていて少ししらじらしく思える所もある。
まさに、正論で武装していた松谷のよう。
痛々しい過去と傷があるからなじめる内容。
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2010年04月17日 読了
落語誌の編集者になって1年。緑は、静岡で行われる春華亭古秋一門会の襲名口演に立ち会う。
今回も天才的な洞察力を持つ編集長・牧が予言めいた言葉を綴り、ほぼ終盤に至るまで声だけの登場となるのに存在感がある。
そしてネタになった「七度狐」を全く知らなくても少しづつ混ざる解説でするりと馴染め、取り込まれる。むしろ、長編なので落語にじっくり浸れた。
都合のいい進み具合もあったかもしれないけど、肝となった「古秋」の名前や、最後のうすら寒い執念までもが、気持ちよく残った。
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2010年04月11日 読了
東城大学病院に来たばかりの新米医師・世良が直面する大学病院の日々。
若き日の高階先生の活躍が見れる。そしてインターンとしてやってくる田口と速水。
医療に全く関係ない本として出ている「黄金地球儀」の話もちょっと絡み、知っていればほくそ笑むことができる。
ちょっと下火になっていた作者への興味を、またしっかりと掴みとられた気分。
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2010年04月10日 読了
9歳の少年が、母親を殺し、その血を飲んだ??
吸血鬼を思わせる連続殺人事件。
それらの殺人の共通点は、香水、そして暗殺虫。
気味の悪い真実が次々と浮かび上がり、背中が寒くなるのに止められない。
犯人の心情がところどころに書かれているけれど、そこからの推測は難しく、最後まで分からなかった。
不意に始まる決着戦のせいで、衝撃的な事実があまりにあっさり流されてしまっていてちょっともったいなかった。
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2010年04月04日 読了
若だんなは今日もせっせと病に伏せる。その隙間のちょっと気分のいい時に起こす言動が、周りの妖たちを大騒ぎさせる。
江戸の大店の一人息子が寝ながら考え、ご近所のやっかいごとを裏から解決していくシリーズ第3段。
この流れにも慣れてきて、こちらも寝転びながら読んでいられるくらいのんびりした作品。
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2010年03月31日 読了
保健所の精神科ソーシャルワーカーとして働く美知が担当することになったのは、ひきこもりの晃。
なんとか彼を変えていこうとする美知だが、やがて二人は静かな何かに落ちていく。
精神科の病気の話、恋愛の話。おそらく純粋だと二人は思っている愛の話だけど、どこかしら批判めいた感情が湧いてくるのはなぜだろう。
ひたすら無垢に、謙虚に、相手を思っているのに、いまいち同意できない。
主人公が一番ふがいない。
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2010年03月27日 読了
一億円、ほしくない?
そう言われてしぶしぶ乗った話は、人気のなくなった水族館から、かつてバブル時代に作られた黄金の地球儀を盗み出すこと。
ひどく大雑把な計画に見えて、おとぎ話のように進むけれど、最後はいろんな個々の陰謀が重なり合ってうまく作用していたことが分かる。
バチスタでの白鳥に当たる人物が、最後に種明かしをしてくれる。インパクトはあまりないけど、よく考えられている。
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2010年03月26日 読了
ホストの大和は、顔はいいのにヘルプにくらいしかつけないほど口が悪くて喧嘩っ早い。
そんな大和の仕事場に、小学生が尋ねてきた。ホストクラブに・・・
忘れられない過去の汚点。たったひとつの思い出。
小学生の進が夏休みの間「家出」してきたためにホストをクビになって、宅配便の仕事を始めた大和と進の話。
元ヤンキーで、家出の末拾われたところがホストで、愚痴も悪口もたっぷりで。なのに明るい。
子供をちゃんとしかれる人はすごい。ただ怒るんじゃなくて、納得させて本気で「ごめんなさい」と言わせる。
そして女ごころにも気づいたら、そりゃぁもう。
どうにでもして
ライトノベルのようにするっと読めるけどちゃんと濃い。
この人の本は出すたびに進化している。どんどんおもしろくなる。
表紙とタイトルがあまりにも陳腐で油断した。
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2010年03月24日 読了
やっと入った憧れの出版会社で、配属されたのは「季刊落語」。
そのうえチームは上司と二人きり。
しかしその上司の洞察力は尊敬に値する。少しの情報とフットワークの軽さでほとんどの事は見抜いてしまう。
落語の話はよくわからないと思っていたけれど、新人教育のついでにちゃんと軽い解説もしてくれて、少しも「置き去り」にされている気がしない。
表紙の雰囲気そのままの世界。
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2010年03月21日 読了
月に1度だけの観測日にのみ活動している天文部の4人は、いろんんなものと戦っている。
それぞれの季節で、それぞれが戦う物語が、気持ちのいい距離感で綴られる。
月に1度しか会わない仲間、沈黙が流れ、一人になって星を眺める。心地よい距離。
坂本司の本の中で一番心に残る作品だった。
星のようにあってほしい人が、私にも確かにいる。
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