ダンス・ウィズ・ドラゴン


2012年10月16日 読了
 井の頭公園の奥深く、夜にならないと辿りつけない図書館がある。その不思議な図書館に呼ばれるようにやってきた滝田オリエ。
その図書館は日々間取りを変え、来るべき人だけが扉をあけることが出来る。

 装丁から、少しは大人っぽい話かと思ったら、10代向け?
不思議な図書館とか不思議な伝説とか、面白そうな設定なのにまとまりがなく、その曖昧さを神秘さと思わせたいのか、意味深なだけで少しも深みがない。

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夏雷


2012年10月14日 読了
 夢だった職業をあきらめ、趣味の山も遠ざけ、ついた仕事も追い出されたあげく、今は「便利屋」をしている倉持。
 もうすぐ梅雨と言う頃、倉持の所に「八月までに、北アルプスに登れるように、私を鍛えて欲しい」という依頼が持ち込まれる。

 強引で奇妙な依頼に押され、トレーニングを始める倉持。
だが、依頼人は山を楽しもうとしない。
必死に登りきることだけを目的としている依頼人を探っていくうち、悲しい過去が分かってくる。

 山岳ネタの新作。
でも今度のミステリーは面白かった。
最後は主人公にかかわったほとんどの人を絡めていて強引だったが、それでも退屈せずに一気に読んだ。

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玉村警部補の災難


2012年10月12日 読了
 桜宮市警察署の玉村警部補と加納警視正のお話。
彼らが関わったいくつかの事件の調査ファイルを、おなじみ田口先生と共に時にため息をつきながら見返していく。

 加納警視正の豪快さが頼もしい。
終盤に田口先生がひそかに思う。
『加納警視正の行くところ、荒野でも瓦礫の山でも、そこに道ができてしまうのではないか』
 運に擦り寄られていると言っていい加納警視正の勘は、まだまだ冴えていそう。

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塔の下


2012年10月08日 読了
 厳しいシノギを稼ぐため、新たな仕事に手を出した揚句、ピンハネした男が殺される。
 そのからくりを調べるために、ヤクザの使いっ走りの元准教授・鏑木が、色々と頼まれごとをする。

 久しぶりの五条瑛。
ヤクザがどうなったって構いはしないのだが、仲間のために奔走するうち、ヤクザと堅気との狭間に生きる鏑木が掴む何重にも被さった真実。頭の中を整理するのに何度もページを戻りながら読んだため、とても満足した。

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天使の梯子


2012年10月04日 読了
 喫茶店でバイト中の慎一。
中学の時の担任教師だった夏姫に偶然出会い、惹かれていく。

 夏姫の古い友人に嫉妬したり、過去が気になったり、辛い過去を知ってしまって戸惑ったり。。。

 純愛モノの少女小説として読めば面白い。

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春待ち海岸カルナヴァル


2012年09月30日 読了
 父の死後、ホテル・カルナヴァルを継ぎ、妹と共に毎日忙しくしている紫麻。
そのホテルで出会い、結婚する二人に式に呼ばれた紫麻が、披露宴で出逢った茅野という男にひそかに恋をする。

 ホテルにやってくるいろんな客との出来事と共に、茅野との上手くいかない恋を静かに描く。
ネガティブな内容ばかりでさして動きも起こらず、非常につまらない。

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萩を揺らす雨―紅雲町珈琲屋こよみ


2012年09月30日 読了
 和食器とコーヒー豆の店「小蔵屋」を営むお草さんの店は、無料で出すコーヒーを目当てにご近所さんが集う。
そこで耳にする不穏な話が気になり、そのあたりの様子をうかがいに毎日あたりを散歩する。やがて見えてくる虐待。

 数えで76歳のおばあちゃんが話す一言一言が、何かしら心に響く。
これまでの人生でどれほどのことがあったのかと思うほど辛い言葉もあるけど、力のこもったセリフなので苦しくはない。
 自分もお草さんの年になったとき、こんな年の取り方をしていればいいなぁと思う。

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ジャージの二人


2012年09月26日 読了
 この夏は、「暑い夏に働くなんてバカのすることだよ」という父と二人、山荘で過ごすことにした。
仕事を辞めて暇になり、妻ともうまくいってない。父も3度目の結婚が危ういらしい。

 ゆるくゆるく語られる。
いろんなしんどい気持ちを抱えているのに、夏の間の山荘にいる間だけは、なんとなく流れていく。

 お互い名前を呼ばないままなんとなく一緒にいる、ゆっくりした親子の関係も、ジャージの楽な雰囲気と似通っている。

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どんぐりのリボン


2012年09月26日 読了
 友人の結婚式で隣に座っていた男・栗本健太。市役所に勤めるOLの藤井五月は、スピーチで思わず彼と言い合ってしまう。
 古風な考えの栗本に反発し、何かにつけケンカをする五月だが、なぜか付き合いが続いていく。

 関西を舞台にしているため、知っている地名やふとした方言がとても懐かしい。
相手の考えがどうしても納得できずケンカばかりなのに、人となりには惹かれてしまう不思議な関係がおもしろかった。

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黒猫の接吻あるいは最終講義


2012年09月22日 読了
 黒猫に誘われ、バレエを見に来た付き人。
その舞台で、ハプニングが起こる。
5年前にはその演目で死者も出ており、それは黒猫も関わっていたと知らされる。

 奇妙な謎と向き合うときは、常に黒猫がいた。今までは。
今回は付き人が一人で走り抜ける。

 もどかしい二人の様子がほほえましくて、黒猫の講義もなんだか愛しく思えてくる。
 これ程くっきりと思い描ける登場人物なのに、二人とも名前が出てきていないことが不思議。
楽しみにしていた2巻目なのに、もう最終講義なんて寂しい。

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