起き姫 口入れ屋のおんな


2016年08月05日 読了
 浮気のあげく子まで作った夫とどうにか縁を切ったおこう。
実家に戻ると兄嫁に身代を根こそぎとられ、もめ事にうんざりしてふと思い出した乳母のところへ向かう。
口入屋をしているという乳母のおとわは病に伏していた。
おこうはその「三春屋」という口入屋に雇ってもらい、おとわの看病をしながら仕事を覚え、やがて2代目となる。

 いきなり身を切るような辛い場面から始まる。
行き場がなくたどり着いた「三春屋」だが、そこでおこうは生きる力を取り戻す。
口入屋にやってくる色んな客やご近所さんが個性豊かで、幸せな結末にほっこりする。

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ようこそ授賞式の夕べに (成風堂書店事件メモ(邂逅編))


2016年08月04日 読了
 年に一度の大イベント、書店大賞授賞式。
成風堂に勤める杏子と多絵は朝から落ち着かなかった。しかしそこへ、書店員・花乃が訪れる。
「書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしい」

 すっかり有名になった例の大賞を舞台にした謎解き。
登場人物があちこちに別れて走り回る話なのでせわしなく、本屋の実情などはもう前にも書かれたものばかり。
興味を引くものはなく、ばたばして終わり。
探偵役の多絵も印象が薄い。
注目するべきところがしっかり出てないので全体的にうっすらした印象。
残るところがない。

砲艦銀鼠号


2016年08月02日 読了
 大戦争であらゆるものが壊れた世界。
元戦闘員の三人が偶然手に入れたオンボロ戦艦「銀鼠号」で海賊稼業を始めた。

 はったりの砲台がついた船を動かし、あちこちの海で呑気に漁船や民間の輸送船を襲いながら漂う3人。
個性的なキャラクターが、奇妙な生き物と出会ったり裏切られたりする。
所々興味をそそる出来事が起こるが、「武装島田倉庫」や「水域」に比べるとインパクトが弱い。

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ノッキンオン・ロックドドア


2016年07月31日 読了
 「不可能」を解く御殿場倒理と、「不可解」を解く片無氷雨。
それ以外の謎はそろってダメな二人が組み、探偵事務所を構えている。
そこに持ち込まれる謎をめぐる、短編小説。

 ただ、きっちり最後まで見届けるということはなく、たいていその場にいる警察官の女刑事の穿地に後始末は任せ、謎を解くだけの二人。
さも周知の事実といった風に出てくる昔話に戸惑うが、二人と穿地、さらに犯罪の知恵を売る美影の4人には、まだ解き明かされていない「密室」があるらしいので、今後に期待。
二人の探偵がいまいち区別しにくいのも難。

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ソロモンの偽証 第I部 事件


2016年07月29日 読了
 クリスマスイブに、一人の少年が死んだ。
自殺と結論づけられたけど、どこからか殺人だという噂が持ち上がる。
さらに、追い打ちをかけるように学校や先生、親が警察官のクラスメイトのところへ告発文が届けられる。
 真実を知る前に次々と起こる事件に、疑惑、不審、裏切りといったあらゆる負の感情がおしよせる。

 「模倣犯」と同じ、ただ長いだけで何もない。

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フェルメールの憂鬱 大絵画展


2016年07月25日 読了
 ベルギーの田舎の教会から突如消えた、一度もホコリを払ったことがないような古くて印象に残らない普通の絵。
その協会の牧師から、絵を取り戻してほしいと依頼される詐欺師。

 日本の宗教団体が手に入れた絵は、いつものマネーロンダリングの駒と少し違っていた。
価値もわからず金に飽かせて集める美術品。それを信者たちから吸い上げた金と共に奪い去ろうとする詐欺師。
最後は鮮やかに根こそぎ盗っていくというものなのだが、どうも腑に落ちないところや違和感が多くあり、美術品や地方の歴史の蘊蓄がやたらと長い。
前作を読まないとわからないことがあるためなのかもしれないけど、とてもつまらなかった。

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図書館の殺人


2016年07月23日 読了
 期末試験中の風ヶ丘高校。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃は、そこで殺人事件が起こったことを知る。
アドバイザーとして警察に協力しているヘンタイの裏染天馬と、いつものメンバー。

 頭がいいけどオタクな裏染が、今回もいい推理といい変態行為を起こしている。
試験と共に進む意味があまりなさそうだと思っていたけど、事件と関係ないところでするりと繋がっていき、意地悪な級友にさりげなく仕返しをしていたりと、細かいところも見逃せない。
他人に興味がなさそうな裏染なのに、大きなショックを受けた女の子にやさしかったり、中学で家出を決意したり、近寄りたくないけど見ていたい希少動物のような人物で面白い。
次作では家出の原因がわかるかな。

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夢の猫 古道具屋 皆塵堂


2016年07月21日 読了
 父が亡くなり、謝金を返すために家財道具を売り払ってしまうと、残すは父が集めていた根付のみ。ところが、それを売りに行く前日に必ず後ろ足の先だけ白い黒猫の夢を見るというおきみ。
その猫のせいでどこも断られ、最後は皆塵堂にやってきた。
足りない分は身を売ることになるおきみに、皆塵堂の主人・伊平次は一計を案じる。

 皆塵堂にまた新たな居候。
今までの居候もあちこちに登場し、賑やかになる。
たくさんの猫が出てきて、それだけで癒されるうえ、個性豊かな登場人物が変わってなくて安心する。

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室の梅―おろく医者覚え帖


2016年07月16日 読了
 医者の家系に生まれ、自身も医者だが死体専門の美馬正哲と、産婆をやっている妻のお杏。
おろく(死体)が見つかるたび呼ばれる正哲と、誰かが産気づくと呼ばれるお杏という、対照的な仕事の二人が生と死に向き合う。

 夫婦の形はそれぞれで、お互いと自分の仕事に向き合う二人はとても頼もしい。
淡々と進んでいくがとても暖かい気持ちになる。

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デッドマン


2016年07月13日 読了
 麻布十番で頭のない死体が見つかり、新宿で胴体のない死体、そして次は足と手が片方づつ。。。集めると、ちょうど一人分の体ができる。
奇妙な事件が続き、捜査本部が立ち上がるが、一ヶ月たっても一向に手がかりが見えない。
 そんな中、体をつなぎ合わされて生き返った死人であるという人物から警視庁にメールが届く。

 第32回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作。
まっすぐなミステリー。錯乱した性格破綻者の独白で始まるため、オチがなく惑わしたまま終わりそうな雰囲気があったが、それはちゃんと真相に迫る謎となっていて、最後の無茶もしっかりあった。
まっとうできっちりとしたミステリー。

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