2016年10月21日 読了
ばけものをこよなく愛する中将の宣能。
ところが近頃ふさぎがちで、怪異めぐりに誘われない。
心配した宗孝は、今まで訪れた思い出の場所を再び訪ね、元気を出してもらおうとするが。
どんなに嫌がっていても、結局は中将に付き合う宗孝が、今回は少し頼りになる。
愛らしさを振りまく初草も、つかみどころのない12人の姉たちも、登場人物のほとんどがとても柔らかい雰囲気で、とても恐ろしい怪異を探しているとは思えない読後感がある。
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読書と編み物の記録
2016年10月21日 読了
ばけものをこよなく愛する中将の宣能。
ところが近頃ふさぎがちで、怪異めぐりに誘われない。
心配した宗孝は、今まで訪れた思い出の場所を再び訪ね、元気を出してもらおうとするが。
どんなに嫌がっていても、結局は中将に付き合う宗孝が、今回は少し頼りになる。
愛らしさを振りまく初草も、つかみどころのない12人の姉たちも、登場人物のほとんどがとても柔らかい雰囲気で、とても恐ろしい怪異を探しているとは思えない読後感がある。
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2016年10月19日 読了
呉服屋「摂津屋」の跡取り息子だった為吉は、幼い頃店に押し込み強盗が入り両親を殺されていた。
その後為吉は北町奉行所付きの中間となっていたが、ある日、両親を殺した盗賊集団・青蜥蝪の首領が捕まったと知る。
江戸の治安を守る仕事につき、過ちを犯した人を見ていく為吉。
始めは暗く愚鈍な男と思っていた為吉の人生が、そのうちいい方へ転がっていくというところを見ていると、為吉の考えていることもわかってきて納得する。
大きな成功はないけど、大きな幸せを手に入れた為吉にほっとした。
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2016年10月15日 読了
タカシがキングとなったワケ。
誰からも慕われていたタカシの兄・猛が、池袋のガキたちを束ねようとしていた。
それは隣町で抗争を繰り返していたカラーギャングたちが、池袋にもやってこようとしていたからだ。
そして埼玉の双子が手を出してきて、猛は足を痛める。
氷の様なタカシの原型はすでにあるが、まだ兄の陰に隠れていた頃はひたすら暗い印象。兄は簡単に死んでしまい、その犯人も上手く挿げ替えられすぎる。
警察に見破られないわけがないが、キングの誕生を経調したかったのか、その采配も強烈。もはや無法地帯。
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2016年10月08日 読了
家出や、社会からはじき出された人が住む、治安の悪いシェアハウス。
そこでは盗みが頻発し、プライベートなどなく、不潔な環境で様々な男女がいた。
犯罪に加担する者、シェアハウスの狭い環境で威張る者、お金がたまるとさっさと出ていく者。
そんな中で、運よく出られた主人公の綾希が見た、暗い世界。
恐ろしいうえに救いがなく、辛い気持ちになるのに最後まで一気に読んでしまう。
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2016年10月06日 読了
バスジャック事件の被害者に届いた「慰謝料」を巡り、被害者たちの意見は対立する。
出どころを突き止めるまでは使わず、その後は黙って受け取るのか、すべてを寄付するのか。。。
金を手にすると人は変わる。
そんな彼らの心を少しでも軽くしようと、杉村は動く。
幸せな家庭を築いていたように見える杉村の、少しづつ閉じ込められるような息苦しさがしだいに大きくなる。
最後は衝撃だったけど、バスジャックはあんまり関係なかったような気もしてしまう。
そのうえ、妻の父という大きな存在から遠ざかった杉村に、あんまり興味はなくなってしまった。
次の「探偵」へ向かう前振りだとしても。
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2016年09月20日 読了
「ジョーカー・ゲーム」シリーズの作者・柳広司が書いた、エッセイや未発表作品を集めた何でも集。
デビュー前の作品があったり、好きな本や映画を紹介していたり、柳広司という作家がどんなことを考えてきたのかがわかる本。
こうゆう本はたいていがっかりするものが多いけど、こちらは短編やパロディ的なショートストーリーがあって思いのほか楽しく読めた。
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2016年09月03日 読了
札幌に暮らす「片原修一」のところに、大きなバックを抱えたキャバ嬢が少女を連れてやってきた。
「この子を母親のところに連れて行ってほしいの」
札幌から熊本まで、車で行くことになる3人。
少しづつ隠していたことがバレてきて、お互いの厄介事も見えてくる。
悲しい事や理不尽な事があって、辛い思いはたくさんしているし、切りたくても切れない人間関係に苦しんでいるけど、やっぱりいい人ばかり出てくる。
そしてほっこりいい後味で終わる。
柔らかい気持ちになりたい時にはうってつけ。
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2016年09月01日 読了
徳川家治の継嗣である家基が、鷹狩の後から体調を崩し、数日後身罷った。
暗殺ではないかという噂が出る中、側近の書院番である坂木蒼馬が失踪する。
蒼馬の許嫁だった志津乃、その伯父である考安、掏摸の死からつながる新助など、関わる者たちの目線で順番に語られる。
それぞれの正義を信じで進む者たち。
すべての意味がわかり、そしていくつかは伏せられ、平和がやってきて終わるが、すっきりという読後感ではなかった。
悔みや悲しみは残り、それでもそれを持ってこれからも生きていくんだという決意が残る。
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2016年08月30日 読了
ある諍いから喧嘩両成敗となり、上士の家の跡取りと共に藩を追放になった橘周介。
口入屋に足しげく通い、用心棒をして糊口をしのぐ生活をしていたが、再会した幼馴染から黒船への斬り込み隊に誘われる。
周介の人となりがわかり始めるころ、面白くなってくる。
素っ頓狂な娘に心を寄せたり、幼馴染の迫力に押されたりする世慣れないところと、対峙した相手の剣を間一髪でかわす強さの両面が描かれていて興味がわく。
でも結局は何物でもなくまだ成長途中の若者で終わり、最後に活躍する首切りの浅右衛門のほうに興味が移ってしまった。
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2016年08月25日 読了
幕末の三舟と呼ばれる男たち。
山岡鉄舟、勝海舟、高橋泥舟の生き様。
小野鉄太郎(鉄舟)は17歳で父を失い、弟たちと共に兄を慕って江戸へとやってきた。
しかし兄夫婦に父の遺産を取られそうになり、家を出る決意をする。
武を極め、一途に強くなりたいと望む鉄太郎に、山岡紀一郎(静山)と勝麟太郎(海舟)は様々なものを見せ、力を合わせ、守りたいものを見つけていく。。
愛しく思うもの、惹かれるもの、とめどなく涌いてくる怒りなど、様々な感情がふんだんに沸き起こり、力溢れる若者たちの様子に、読む方も止まらなかった。
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