波濤の牙 海上保安庁特殊救難隊


2017年01月06日 読了
 台風の接近で荒れる茅ヶ崎沖で、衝突事故が起こった。
救助に向かった海上保安庁特殊救難隊の惣領正チームは、国籍を偽証した船から3人を救出する。
ところが3人は、沈みゆく舟から荷物を取って来いと言い、惣領たちに拳銃を突き付けた。

 久しぶりに刑事モノではない今野敏。
無線も壊され、孤立し緊迫するシーンが続き、手を止めることなく読み終えた。
それぞれが何かのエキスパートで、諦めず力と知恵で乗り越えようとし、さらに見守るしかない人たちの苦しさも描かれ、楽しく読めた。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

波涛の牙新装版 海上保安庁特殊救難隊 (ハルキ文庫) [ 今野敏 ]
価格:754円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

ちょっと今から仕事やめてくる


2016年12月09日 読了
 ブラック企業ですり減り、衝動的に電車に飛び込もうとしていたところを、同級生だという「ヤマモト」に引き留められる。
覚えてないけど確かにヤマモトという奴はいた、と付き合いを始める主人公・隆。
 ヤマモトとの明るい会話を重ねるうち、隆の表情は変わっていく。

 ヤマモトを完全に信用していた隆だが、ある日ふと見つけた記事から不信感を抱く。
確かにちょっと怪しいけど、友人としては最高なヤマモト。
ありふれた設定や展開だけど、人との縁で人生はここまで変化する。
すぐ読めるけど、ちゃんと全部入ってるといった感じ。

若様とロマン


2016年12月03日 読了
 巡査になった若様組。
真面目に日々仕事に向かっている若様達だが、にわかに不穏な空気が漂いだしてきた。
成金のひとりである小泉琢磨は、日本は戦争になると予言し、それを抑えるべく仲間を集め始め、その一つの手として若様達に縁談を進めてくる。

 若様達が次々に見合いをする。
登場する女学生も華やかで個性的だが、やはり小泉の娘・沙羅はとびぬけていた。
次々と騒動が起こるのは「しゃばけ」シリーズでも同じだが、人数が多い分こちらは多彩。
戦争が起こった時、小泉や若様組はどうるす?

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

若様とロマン [ 畠中 恵 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

星やどりの声


2016年11月30日 読了
 亡くなった父が大事にしていた喫茶店「星やどり」を守りながら暮らす、母と6人の兄妹。
少ない常連の一人であるおじいちゃんの姿が見えなくなったころから、家族の形が変わっていく。

 ほのぼの。
仲は良いけどそれぞれが小さな葛藤を持ち、家を出る者や店を手伝う者、様々な未来を見据える。
そして、これまでから卒業する。
苦しいところも引っかかるところもなくサクサク読める。でもあんまり残らない。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

星やどりの声 (角川文庫) [ 朝井 リョウ ]
価格:616円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

ランチのアッコちゃん


2016年11月20日 読了
 派遣社員の三智子は、彼氏にフラれてから元気がなかった。
そんな三智子に有能な女性部長・黒川が声をかけてくる。
「これから1週間、ランチを交換しよう」

 仕事はできるがちょっと近寄りがたい部長の指示で、その日行く場所へランチへ出かける三智子。仕事場での部長の顔しか知らなかったけど、ランチで出会う人や場所によってどんどん視界が開けてくる。
元気が出てくるランチ。美味しいと思えることが楽しいということが、力になる。
 でも後の短編はそのパワーに欠けていた。アッコちゃんの話がもっと読みたくなる。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ランチのアッコちゃん (双葉文庫) [ 柚木麻子 ]
価格:590円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

神様の裏の顔


2016年11月18日 読了
 たくさんの人から慕われた神様のような坪井誠造が死んだ。
教師であり、定年してからは裏の敷地にアパートを建て、畑も作り、近所の人々に愛された坪井誠造の通夜に集まった人々。その中に、ちょっとした疑惑を持つ者が数人いた。

 清廉潔白な、神の様な人物だったはずなのに、一つ怪しいと思ってしまうとたちまちすべてが怪しくなり、あっという間に悪魔の様な人物になってしまう。
通夜の席の数人の話だけで、一人の老人の人物像がここまでくるりと入れ替わるのは面白い。
最後まで違和感を持たせずに上手く一人を消し去る結末には驚いたが、あのオチはあんまり好きじゃない。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

神様の裏の顔 (角川文庫) [ 藤崎 翔 ]
価格:748円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

まことの華姫


2016年11月17日 読了
 夜でも明るい両国の見世物小屋。
その中に、珍しい技を見せる芸人がいた。
最近人気のその人形遣いは、月草という。

 まことを話す井戸から生まれた玉を目にもつ姫人形・お華を操る月草の下へやって来るお客は、お華のファンだけではない。
知りたい事を抱えて思いつめた人は、見世物の途中でも構わず月草に詰め寄ってくる。
そのあたりを束ねる親分の頼もしさと、月草の優しさがわかりやすく引き立っている。
謎というより人のしがらみが大きく、それがほどけた瞬間はすっきりする。
ただ、表紙のお華の表情がなんだかしっくりこなくて、物語の印象が薄くなってしまっている。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

まことの華姫 [ 畠中 恵 ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

サラバ! 下


2016年11月06日 読了
 家族がバラバラになり、自分だけは違うとそれから逃げ続けていた歩だが、ある日頭髪が薄くなっていることに気付いてからは、卑屈で人を避け、猫背で引き篭もる日々をすごしていた。

 上巻はただ淡々と出来事を綴っていたからさほど興味もわかず、いつ読むのをやめても気にしないくらいだったが、下巻になって少し周りが見えてきた歩の物の見方に興味がわいてきた。
どこにも引っかからずするすると読めるため、あっという間に終わりそうだったが、最後で「夢オチ」的な気配が出てきたところで突然白けた。
ヤコブとの邂逅で終わっていればまだタイトルともつながったのに、残念な気分しか残らなかった。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

サラバ!(下) [ 西 加奈子 ]
価格:1760円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

炎を薙ぐ


2016年11月02日 読了
 両手両足を切り取られた若い女の死体が見つかる。
さらに、妻・おさとの友人でおゆきという娘の父親が拷問されたあげくに殺され、おゆきの身も危ないというので、貧乏浪人・由比三四郎が用心棒となる。

 シリーズものだったようだ。
短い出来事がいくつか起こり、その陰には「達磨美女」へつながる不気味な予感。
寒気がするような決着だが、一応落着する。
妻のおさとがとても良い雰囲気を出しているが、一つ一つの事件のその後が全く語られないので気になってしまう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

炎を薙ぐ (講談社文庫) [ 池永 陽 ]
価格:979円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)

KZ’ Deep File 桜坂は罪をかかえる


2016年10月23日 読了
 春休み、『これは救済だ』と言って消えた友人を探して、北海道にやってきた中学1年の上杉。
もう一人の友人である黒木と共に、目星をつけた修道院へ乗り込もうとする。

 中高生向けでシリーズもののようだが、知らずに読んでも十分楽しめた。
得意の中世ヨーロッパの知識も入っていて、それなりに狂気もまざり、残酷な部分はうまくコーテイングされていて透明感もある。
他の作品も気になってしまう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

KZ’ Deep File 桜坂は罪をかかえる [ 藤本 ひとみ ]
価格:1540円(税込、送料無料) (2019/11/16時点)