デッドマン


2016年07月13日 読了
 麻布十番で頭のない死体が見つかり、新宿で胴体のない死体、そして次は足と手が片方づつ。。。集めると、ちょうど一人分の体ができる。
奇妙な事件が続き、捜査本部が立ち上がるが、一ヶ月たっても一向に手がかりが見えない。
 そんな中、体をつなぎ合わされて生き返った死人であるという人物から警視庁にメールが届く。

 第32回横溝正史ミステリ大賞大賞受賞作。
まっすぐなミステリー。錯乱した性格破綻者の独白で始まるため、オチがなく惑わしたまま終わりそうな雰囲気があったが、それはちゃんと真相に迫る謎となっていて、最後の無茶もしっかりあった。
まっとうできっちりとしたミステリー。

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スクープのたまご


2016年07月06日 読了
 出版社で働くことを夢見て必死で頑張った就職活動の結果、やっと引っかかった千石社。
入社2年目で配属された「週刊千石」では、毎日調べ物や張り込み、聞き込みにインタビューと、様々な事件の端っこを受け持つ日々。
そんな中、少しずつ関わった仕事が次第につながり、いつしか連続殺人事件のカギを握ることになる。

 緊張の毎日を何とかこなす新人記者の日向子の奮闘。
そこは意地悪な同僚や理不尽な上司がいるわけじゃなく、本当に仕事の大変さを描いている。
色んな人を見て、ひたすら考え、たくさん教えてもらう。
表紙のイメージのまま、駆け回るような展開であっという間に読める。

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牛姫の嫁入り


2016年07月02日 読了
 忍者の派遣をしている三日月村の忍者・コウ。
どんくさい相方の守市と共に任務に就く。
それは、十万石の大名である藤代家の娘・重姫を誘拐してくることだった。

 「誘拐見合い」という風習を使い、女好きのバカ息子に嫁をとろうと企む旗本・加納光政。
コウは予定通り藤代家に忍び込むが、絶世の美女と謳われていた姫が実は牛のように太っていたことを知り、途方にくれる。

 見た目は牛のようだが、世間を知らぬ心はピュアなまま固まり、食べる意味も知らずただ出されたものをひたすら食べる姫を変えていくコウ。
あちこちの面倒が最後はすべていいところに収まるので気持ちよく終われる。

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戦うハニー


2016年06月17日 読了
 大手保険会社を辞め、夢だった保育士として私立保育園「みつばち園」で働き始めた主人公の星野。
そこは、問題のある親や子供自身を受け入れている、「問題の多い保育園」だった。

 パチンコで稼ぐ母親、ネグレクト、親同士の不倫など、受け入れている子供の家族の問題も多いが、市役所との問題もあり、また保育士個人の問題もある。
園に嫌がらせをしてくるご近所さんの問題から、園の閉鎖に追い込まれそうになったりと最後まで厄介ばかりだが、最後はなんだかあっけなく、これまでの出来事に比べれば苦もなく解決。
山場というには寂しすぎた。

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睦月童


2016年06月10日 読了
 祖母の故郷から、日本橋の酒問屋に連れてこられた一人の子供。
その子は、人の罪を映す「鏡」という力を持っていた。
 跡取り息子のあまりの放蕩に業を煮やした当主が連れてきたその子・イオによって、良心の呵責に耐え切れず罪を告白する放蕩息子の央介。

 そんな子供と過ごすことになった央介は、江戸で起こる様々な罪人と関わることになるが、やがてイオの力のわけを知ることになり。。

 女だけが持ち、その命は子へ受け継がれるために増えも減りもしない不思議な力を持つ女たち。
人が支配しているようなこの地において、その真理は裏返っていくかもしれないという奇妙な恐怖。
どんなに根絶やしにしようとしてもどこかで生きている生命の強さを感じて空恐ろしくなる。

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キッズタクシー


2016年05月28日 読了
 シングルマザーでタクシー運転手の千春。
ある日予約していた小学生の男の子がいなくなる。事故か、それとも誘拐か。
捜査が進むうち、千春の15年前の事件を暴く噂が流れ始め。

 千春のほかに、視点を変えて数人の目線から語られているが、それがあまり生きてない。かえって混乱してしまった。
短編が多い作者だからそのあたりの癖かもしれない。
 自分の子供を含め、仕事上で出会う子供たちを理解しようとする千春が懸命すぎて、心が痛む。

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アンと青春


2016年05月19日 読了
 デパートの和菓子屋『みつ屋』でバイトをしている主人公の梅本杏子。
シリーズ2作目。仕事にも慣れてきた頃、デパートにやってくる様々なお客様を見る目も変わってくる。
不思議な言い回しをする人に、業界の専用言葉がわからず悩むアン。
周りの空気が一瞬固まるほど子供を叱る親など。
 しかし、そこだけ見れば嫌な客でも、事情を推理していくと見えてくる本質があり、アンは手を貸そうとしてしまう。

 お人好しで、お菓子と関わる謎をひたすら解き明かそうとするアンの姿は一途なようだけど、どこか白けた雰囲気が漂う部分もあり、応援や共感をしにくい。
 所々はおもしろいけど、全体の読後感としては流れに乗り損ねたような気分。

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私のサイクロプス


2016年05月09日 読了
 迷い癖のある旅本作家・和泉蝋庵と、お供の輪と耳彦。
目的のところにたどり着くまでの迷い道で、ひたすらおかしな町に出くわし、恐ろしいものを見、死にそうな目に合う。

 前作の『エムブリヲ奇譚』の不気味な後味が妙に残っていたので興味がわいた。
ホラーで所々スプラッタだから、読んでいると恐怖で震えるが、なぜか読後感は悪くない。
日本中の奇妙な話を集め、どこかで聞いた頃がある伝承が混ざっているからか。

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私のサイクロプス [ 山白朝子 ]
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骨董通り0番地


2016年05月03日 読了
 骨董通りの一角、あまり人に見つかってほしくないと言わんばかりの佇まいをしたバーがある。そこの常連である老紳士の内山に、ある女性と仕事を含めた付き合いをしてほしいと頼まれる主人公の高柳。

 時が止まったかのような雰囲気のバーと、よく似た気配の老人。
内山に懸想する若い女性に惹かれていく高柳が、自分の嫉妬心に気付いた時、内山を巡る女二人の戦いに巻き込まれていることを知る。
 しかしその戦いすら、内山の練ったゲームの中のひとつにすぎないと気づきながらも抜けられない高柳が、静かに怒りを感じるのが最後の最後までない。
いい年をした男が上手く操られた感があるにもかかわらず。

 人に、「きっとこの作者の本は気にいると思う」と紹介された作家。
煙に巻かれたような読後感だが、不快感はない。

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骨董通り0番地 [ 村松友視 ]
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教場


2016年04月20日 読了
 警察学校初任科の第九十八期短期過程の生徒には、厳しい規律と訓練で心を壊す者が出てきていた。
 厳しいだけでいじめとしか受け取れない教官、同期を執拗に追い詰める者など。
そんな中、白髪まじりのある教官は、一人冷静に生徒たちを見つめていた。

 柳広司のスパイシリーズのようなイメージで読み始めた。
途中とても不快な気持ちになるところもあり、そこが全く違うところだが、人の暗い内面を誇張しているという点では効果のある理不尽さだった。

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教場 (小学館文庫) [ 長岡 弘樹 ]
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