時空犯


 私立探偵、姫崎智弘の元に、報酬一千万円という破格の依頼が舞い込んだ。
依頼主は情報工学の権威・北神伊織博士で、なんと依頼日である今日、2018年6月1日は、すでに千回近くも巻き戻されているという。
そして集められた人は8人。
皆にも巻き戻しを体験してほしいというものだった。
しかし再び6月1日が訪れた直後、博士が他殺死体で発見される。

 時間が巻き戻り、同じ日を永遠に繰り返し、しかもその記憶まであるという。
情報伝達としてのプログラムに、人間の情報を吸い出して大量にかき混ぜたら、知恵をもつ何かが生まれるのではないかという途方もない研究。
荒唐無稽だけどかなり理論的な説明があり、研究の一分野という感じはある。
その繰り返しの中で人を殺すという検証をした犯人を追い詰めることができはしたが、犯人の考えも理解できない分野だった。
人知を超える、全く別のものと出くわしたとき、どうすればいいのか。