死まで139歩


 毎日歩いて手紙を運ぶ仕事をする男。夜の公園で謎めいた言葉を言い残して消えた美女。
おかしな事件を相談されたツイスト博士。
しかしこの2件には、「しゃがれ声」の人物が共通して登場していた。
そして怪しい人物からの電話で呼び出されたツイスト博士は、そこで無数の靴が並べられたまま5年の間封印された屋敷へたどり着く。
さらに、埋葬されたはずの屋敷の主人の死体が、暖炉の前の椅子に座っていた。

 ツイスト博士シリーズのなかで今回は密室をしっかり作ってある事件だった。
そしてその仕掛けも、トリックを使ったもので何度も読み返した。
悲しく淋しい背景があったことが分かると、その手の込んだトリックが急にイメージが変わって悪意の要素が減る。
郷愁めいた印象を残した。