2017年02月05日 読了
第10回『幽』文学賞短篇部門大賞受賞。
夫を事故で無くし、義母から「人殺し」と罵られることから逃げ続けている柚子は、夜な夜な不定期に訪れる異世界の人々と闇の取引をしていた。
暗く静かな語り口で、大きな恐怖はないけどうすら寒い夜の出来事を描いている。
薄汚れた着物を着、判別しにくい言葉を話す闇の者たちが欲しがるのは、こちらの世界ではありふれていて、ゴミとして捨てられるもの。
価値観の違いから成立し、時に恐怖を感じることもあるのにやめられない取引。
現実から離れた世界へ引きずられる感じがリアルで恐ろしい。
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