2013年02月09日 読了
リストラ請負人・村上真介が、業績の悪くなった企業から依頼されて人員整理のお手伝い。
大きな会社でも首にしたい人はいる。面接で誘導しながら、それぞれの人生を問いかける真介。
バブルの頃に無節操に採用したオジサンたちや、これ以上出世の道はないといわれるCA達の人生を聞いているうち、自分もこの先どう生きていこうかと考える。
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読書と手芸の記録
2013年02月09日 読了
リストラ請負人・村上真介が、業績の悪くなった企業から依頼されて人員整理のお手伝い。
大きな会社でも首にしたい人はいる。面接で誘導しながら、それぞれの人生を問いかける真介。
バブルの頃に無節操に採用したオジサンたちや、これ以上出世の道はないといわれるCA達の人生を聞いているうち、自分もこの先どう生きていこうかと考える。
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2013年01月08日 読了
日本ミステリー文学大賞新人賞。
主人公の勉は、一回り近くも年の離れた菜津と暮らしていたが、彼女は半年前に交通事故で死んでしまった。
ひとり静かな暮らしを始めた勉。ある日仕事から帰ってくると、家の中には昔の仲間が集まっていた。
単調でくどい文章で書かれた、女や犬はただの道具としか思っていないような、感情の薄い、何事にも執着しない主人公の勉。
とても嫌な人物に思えるのに、なぜか嫌悪感がない。
おもしろい人物だと思いながら読み進むと、この文章独特の面白みが分かってきて止まらなくなった。
本当はちゃんと感情もあり、他人や動物も慈しむことができ、それらの気持ちもよく理解できている勉の、生き様。
選考委員以外の読者には、なぜか酷評されている。
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2013年01月05日 読了
祖母の死によってひとりぼっちになった智子は、家と遺品の整理を始める。
智子の両親は、智子が幼いころ自動車事故で亡くなっており、智子もその際に事故以前の記憶をなくしていた。
そして両親が残したビデオテープを見つけ、それを見返すうちに、自分が昔持っていた力に気付く。
不思議な力を持つ主人公3人の話。
超能力を持つことは、幸か不幸か。
ありえないことだけに、いくらでも膨らむ想像が楽しかった。
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2013年01月02日 読了
ある保険金殺人につながる関係者を、それぞれの財布が語り部となり、見たことや聞いたことを語る。
刑事、被疑者、探偵、証言者、いろんな財布たちがそれぞれの持ち主について話しているので、面白い。
しかし、結末はどこかで聞いたことがあるような展開で、ありふれていた。
この手の話は必ず誰かの他の話に似ている。
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2012年12月27日 読了
法律事務所を開いたばかりの田中。
一向に繁盛しそうにないその事務所には、ヤクザのような原口が日に一度は顔を出す。
そんな怪しい事務所にやってくる客も、やっぱり怪しくて。
なにやらワケありだとはすぐにわかるのだが、田中の過去はなかなか語られない。
気の小さい弁護士の話のはずが、ちょっとづつずれて後に引けない一大事へを発展していく様子はなかなか楽しかった。
最後はドタバタで終わったけど、妙に暗くならないところがすっきりしていて良かった。
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2012年12月27日 読了
麻薬取締官である七尾究一郎は、近頃若者の間に出回っているヒートと呼ばれる違法薬物の操作をしていた。
ある日、サラリーマン風の山崎という男から誘いを受ける。山崎は、、広域指定暴力団の構成員だった。
山崎と共に、ヒートの売人である仙道を追っていたはずが、仙道は殺され、七尾はその犯人とされてしまう。
「魔女は甦る」と同じ流れ。どうやら続編だったらしい。
するすると読めるけど、山場は「魔女は甦る」とほとんど同じ脱出劇。
それさえかぶらなければ面白かったのに残念。
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2012年12月13日 読了
第57回江戸川乱歩賞受賞作。
世界仲の岩を完登してきたクライマーの水沢浹は、ある依頼を受ける。
「皇居に侵入し、樹齢550年の名盆栽「三代将軍」を盗み出せ」
タイトルの意味が全然わからない!
そう思って読み始めたら、突飛な話がおもしろくてどんどん進む。
始めの頃は、視点が定まらずにふらふらするために読みにくいが、後半は加速する。
奇抜なアイデアに奇抜な登場人物が、ありえない設定をより引き立てて、醒めさせない。
マンガ的だけど楽しかった。
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2012年12月10日 読了
雪山に取り残された彼女、孤島に暮らす姉弟、居酒屋での謎解き、繋がった過去の破片。
それぞれの短編には、細かく区切られた時間の記録があって、時々は想像のままに終わる。
一つづつ読んでいくと、いくつかの物語で過去と繋がる場面が出てくる。
児童養護施設の七海学園で働く保育士の物語と。
彼らの別の角度からの話はとてもおもしろかった。
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2012年10月28日 読了
観光立県をめざし、「おもてなし課」を作ったはいいが、まず何をする?
なにかにつけゆるい公務員の思いつきに、「観光特使」となった作家はあきれ返る。
いいたい放題にこきおろされた課の面々は、民間との意識の差を思い知らされて戸惑いながらも、もっともな意見に頷かざるを得ない。
有川さんお得意の甘い恋愛模様もしっかりありながらも、やはり辛口から入る。
地元への思い入れと批判をきっちり書き出してはいるけど、最後の大詰めにあたる結論は、ちょっとインパクトがなく物足りない。
そこは事実に基づいた結果を採用したからなのかもしれないが、小説という場なら、もっと大きな「観光」を打ち出せたはず。
話題になったわりにはフェードアウトした感があって消化不良。
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2012年10月18日 読了
消防隊員の生田は、勤務地が異動になってからは救急車を運転していた。傷病人を安全に素早く運ぶためには、消防車とはまた違ったスキルが必要とされる。
そんな生田の運転する救急車が、怪我を偽った男にジャックされた。爆弾を持ち込み、二億円の金と共に都内の病院を回るよう要求する。
ジャックされてからのスピード感は力強く、生田の運転が頼もしい。それまでのだらりとした導入部を忘れ、ひたすら走る。
最後は少し芝居じみていたが、読後感は良い。
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