2017年04月22日 読了
ジワリとしみてくる恐怖を描く七つの話。
子供たちが出会った気味の悪い老婆、占いを一切信じないと公言したおかげで占いに苦しめられた男、一つの事だけに執着して視野が狭くなったおかげで様々なものを失った主婦、そして個別の話を少しづつ繋げた最終話。
ホラーとしての色が強い話から、だんだん柔らかになるために読後感は緩和されていく。
それぞれは強い嫌悪や恐怖を感じさせるが、不思議と読み終えたら消えている。
すっかり忘れるくらいの軽さ。
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読書と手芸の記録
2017年04月22日 読了
ジワリとしみてくる恐怖を描く七つの話。
子供たちが出会った気味の悪い老婆、占いを一切信じないと公言したおかげで占いに苦しめられた男、一つの事だけに執着して視野が狭くなったおかげで様々なものを失った主婦、そして個別の話を少しづつ繋げた最終話。
ホラーとしての色が強い話から、だんだん柔らかになるために読後感は緩和されていく。
それぞれは強い嫌悪や恐怖を感じさせるが、不思議と読み終えたら消えている。
すっかり忘れるくらいの軽さ。
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2017年04月17日 読了
ブラック企業からやっとのことで逃げ出し、実家の中華料理店の2階で引き篭もっていた主人公の大倉多聞。
ある日借金の形に見合いをさせられ、相手の家に住み込むことになる。
それだけでも充分おかしなことだけど、なんと相手の家は現代に残る忍びの家だった。
忍者や吸血鬼、アイドルまで出てくるしっちゃかめっちゃかなお話。
子供の好きなアイテムてんこ盛りといった感じで、細かいことは気にしないほうがいい。
その分「僕僕先生」にあったような心の機微を感じる要素は少ないのでちょっと物足りない。
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2017年04月15日 読了
人気作家が自宅で殺された。第一発見者は妻と作家の古くからの友人。
犯人は割とすぐに逮捕されるが、動機だけは真実を話さない犯人に、「新参者」シリーズの加賀は、犯人が小学生だった頃までさかのぼって調べていく。
犯行そのものより動機に重点を置き、犯人の心理をじっくりと追っていくのだが、実に回りくどい。
小さな頃から染み付いた考え方が、執念深く周到な犯行につながったことを証明するために、最後は様々な角度から犯人を見ていくが、なんだか今一つ追い詰めるようなスピードも圧力も感じない。きっかけも大きな出来事ではあるのに、のんびりしてカーテン一枚向こうの出来事のような文章でふわふわした感触になっていた。
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2017年04月03日 読了
昭和最後の1週間に起きた、誘拐殺人事件。
未解決のまま14年がたった頃、広報官の三上は、刑事部と警務部の争いに巻き込まれていた。
誘拐事件だけがメインかと思っていたら、三上の娘の家出のほうが大きく描かれていて、何に注目していいのか戸惑った。
刑事部と警務部という馴染みのない部の争いが間延びさせ、退屈な上巻となった。
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2017年03月29日 読了
フリーのルポライターである名賀尻は、あるドキュメンタリー出版物のインタビューをしていた。
短い命のAV女優達を追い、素顔を引き出すのが腕の見せ所で。
今の自分の立場、それが運命だと思っていても、本当は何者かによって仕組まれたものだったとしたら。
最初から最後まで「胸糞悪い」話だった。
ちょっとした悪戯で心を殺され、人生を狂わされた女の、最大級の知恵を使った復讐。
視点があちこちに飛び、登場人物が区別しにくいのでわかりにくく、関係性を把握するのに手間取る。
舞台が苦界のせいか辛い話が多くて救いがないし、悪だくみをした者が制裁も受けないので後味も悪い。まだ続くと思わせる恐怖はホラー映画のよう。
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2017年03月25日 読了
「明治・妖モダン」シリーズ第2弾。
銀座の派出所勤務の巡査たちは、今はもう知る人も少ない怪しの者たち。
彼らが今回出くわしたのは、明治の世へと移り変わる中で捨て去られた小さな集落の物語。
妖がたくさん出てくる割にはなんだかぱっとしない。
大きなことに絡んでいるようで印象は薄いし、「しゃばけ」シリーズと「若様組」シリーズの曖昧なところを寄せ集めたような2番煎じ感。
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2017年02月15日 読了
休暇を取るように上司から命令されたロベルトと平賀。
代理で出席した式典の帰り、そのままカリブ海のクルーズで休暇を過ごすことにした二人だが、その舟の前に、突然巨大な十字架が出現した。
さらに次々と死人が出る事態となり、二人は休暇を辞めて調査に入る。
逃げ場のない船上で、奇跡と殺人事件という二つの謎に立ち向かう二人。
今回は奇跡調査よりも事件調査がメインで、最後は悪がそのままに過ごされてしまうというすっきりしない終わりとなった。
次回への布石とするには後味が悪く、期待が膨らむようなネタもでてこなかったので残念。
ローレンの名前が出てきたくらいか。
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2017年01月21日 読了
伊良部一郎、第3弾。
特に何もしていないのになぜか問題が解決している不思議な神経科の医師。
だけど今回はなんだか消化不良。
なんだこれからもこのままなのか、というような終わりがいくつかあり、まるで途中で飽きてしまったかのような終わり方。
タイトルの「町長選挙」も、不愉快な場面ばかりで結局そのまま。
伊良部の天啓の様なセリフはいくつか出てくるし、今回はマユミも核心をつくが、それよりも曖昧さが大きかったためか満足感は少なかった。
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2016年12月22日 読了
昭和十七年五月、空襲により負傷した亀島伊介海軍一等兵曹は、軍令部特別班への転属命令を受ける。
畑違いの防諜活動に戸惑いながらも、しだいに熱が入り始める亀島だが、先を読んで裏切り、狙った相手を思いのままに動かし、自分たちの都合がよいようにと目論む周りに混乱していく。
スパイや裏切りということにすれば、どんなことでもこじつけられるような進め方で、自分の信じることすら嘘にされそうなところに嫌悪感が湧く。
スパイものとしては、柳広司のシリーズのほうが数倍おもしろい。
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2016年12月03日 読了
8年後に小惑星が地球に激突し、世界は滅びると発表されてから5年。
パニックや自棄になった人々が暴れた時期を過ぎて小康状態となった頃、あるマンションの住人たちの生活を短編で綴る。
慌てふためく時期を過ぎた人々は、何を思って生きているのか。
親がいなくなった子供たちや、息子夫婦が孫を連れて心中してしまったおばぁちゃんなど、身近な人の死を受け入れたら、人は似てくるのかと思うほど、それぞれに個性がない。
どれも同じテンションで、誰の目線からも同じくらいの温度しか感じないため、面白みがない。
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